研究課題
H28年度までにトンネルのような安定した温度環境のもとでのセンサーの性能試験をおこなってきたが,その結果,温度特性が加速度の測定精度に大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。そこで,H29年度には温度が大きく変動する屋外での検証を行うために温度管理を行うことができる魔法瓶を作成し,そのなかにセンサーを入れて実際に屋外で観測をおこなって性能試験を行った。水晶振動子の出力は,水晶振動子の固有振動数をカウンタで数えてデシメーションフィルタで処理した後のものが得られている。したがって,当初,デシメーションフィルタの性能が重要であると考えていたため,H29年度にはフィルタの改良を実施することを計画していた。しかしH28年度までの検討で温度の影響が特に大きく,デシメーションフィルタについては現行のアルゴリズムでも,温度の影響に比べれば十分な性能であることがわかった。そのため,実験をとおして温度とセンサー出力の関係を明らかにし,温度の影響を取り除く手法について検討した。その結果,センサ用水晶とカウンタ用水晶の両者の温度特性の影響を個別に取り除く必要があることが明らかとなり,それにはHilber-Huang変換が有効であることを示した。水晶振動子センサを重力計として用いる場合,温度安定性の影響をもっとも大きくうけるため屋外での観測では重力計として相対重力値の測定を行い,既知の絶対重力値との比較からセンサの重力計としての測定精度を明らかにして実用可能性を示した。
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土木学会論文集A1(構造・地震工学)
巻: Vol.74, No. 4 ページ: 印刷中