研究課題/領域番号 |
15K12491
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
岡村 未対 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (50251624)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 水災害 / 地盤工学 |
研究実績の概要 |
堤体や基盤に比較的透水性の良い水みちが存在すると,そこから砂が徐々に吸い出されて空隙が広がり,堤防機能が時間と共に劣化し破堤の危険性が高まる。通常の土構造物は,時間と共に安定化するが,経年劣化する内部侵食現象は,モグラの穴が破堤のきっかけになるなど極めて局所的な現象のため,現場での調査で発見することは大変に困難である。今年度はパイピングが堤体表面の変形パターンに及ぼす影響を調べた。均一な堤体でパイピングを模した部分を設けた遠心心模型実験を2ケース行った。これにより、パイピング部の馬場と体積、法面からの深さに応じて形状と大きさが変化する地表面の沈下が現れることを確認した。また、この沈下形状はガウス曲線に近いことも確認した。これより堤体内で発生するパイピングの位置と大きさを地表面の沈下量分布から推定する方法を構築した。 続いてH27年9月関東・東北豪雨災害で漏水や噴砂が発生した鬼怒川堤防および漏水が発生した那賀川堤防にて堤体の表面沈下量を計測した。噴砂が生じた地点において表面形状からパイピング部を推定したところ、推定されたパイピング部の体積と噴砂量が概ね一致し、推定法の妥当性がある程度確認できた。また、漏水のみで噴砂の生じなかった箇所においては特徴的な法面沈下形状がみられず、これからも推定法の妥当性が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はパイピングによって生じる盛土表面変状について調べた。年度中に鬼怒川での災害が発生し、研究材料としては大変に貴重な機会であったため、鬼怒川での現地調査とパイピングの研究を先行して行った。当初28年度に計画していたことについては予想以上の成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は当初計画でH27年度に予定していた内容を中心に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
H27年度は年度中に関東東北豪雨災害が発生し、そこで生じた鬼怒川堤防の漏水や噴砂の変状の研究(当初計画ではH28年度に行う予定であった)を先行して行った方がよいと判断したため、執行額と使用計画に多少の違いが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
H28年度は当初計画のH27年度の内容を主に行うため、繰り越した額も含め使用する予定である。
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