研究課題/領域番号 |
15K12499
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
中川 公一 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (00244393)
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研究分担者 |
澤村 大輔 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60196334)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生体計測 / 生体情報 / 電子スピン共鳴 / イメージング / 皮膚科学 / 皮膚疾患 |
研究実績の概要 |
本年度は表面検出用共振器を試作し、安定ラジカルを用いてアパチャーサイズの検討をした。アパチャーサイズが、大きければマイクロ波の漏れが大きくなり試料の信号を検出しやすくなるが、マイクロ波の強い部分はアパチャー中心に限られることが分かった。アパチャーの中心から端に行くと検出される信号は同じサンプルでも弱くなった。 この他に磁場変調・マイクロ波パワーなどのスペクトル線形に与える影響を検討した。現在、直径4 cmのひと巻きのコイルを使用しているが、磁場変調と信号強度が必ずしも一致しないので磁場変調コイルの形状や位置についてさらなる検討が必要と思われた。マイクロ波パワーについて、信号強度はマイクロ波パワーを上げると大きくなるが、必ずしも直線関係にはなかった。10-20 mWくらい以上では、試料の大きな信号強度の変化は見られなかった。 前述の検討項目を踏まえ、無侵襲の検出法として人の指や爪の測定を試みた。通常、皮膚は水分を弾くため市販のローションと0.1 mM 4-hydroxy-2,2,6,6-tetramethylpiperidin-1-oxyl (TEMPOL)の50対50水溶液を調整し、測定溶液を指や爪に塗布した。指の測定の場合、信号強度時間とともにやや上昇した。一方、爪では信号強度は時間とともに変化はなく弱かった。測定後、指の溶液を石鹸で洗い流したのち、指からの信号は検出されなかった。 指や爪で常磁性種を研究するための新たな可能性を提供する9 GHzの表面型非侵襲的な検出方法を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請課題での主な理由は、以下の通りである。 (1) 研究計画の主である表面検出器の試作を行い、測定することができた。 (2) ESRと画像関連のジャーナルに審査の上で、論文が掲載された。 以上のことから、順調の進展と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ESRによる模擬試料や皮膚疾患試料などの応用計測と画像化を試みる。さらに、いろいろな試料のイメージング測定を行い実験と解析精度の向上のための工夫を施す。今後の研究方針としては、 (1) 表面検出器の精度の向上をはかる。 (2) データの画像化の技術と画像の解像度を上げる改善を試みる。 また、これまでの結果を踏まえ、より多くの試料を測定しESRイメージングの皮膚計測の応用性を高めるよう努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の発注遅れのため。
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次年度使用額の使用計画 |
できるだけ早い時期に、消耗品を発注する。
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