研究課題/領域番号 |
15K12501
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
増澤 徹 茨城大学, 工学部, 教授 (40199691)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生体組織接合 / 複合低エネルギ生体組織接合 / コラーゲン / FIB-SEM |
研究実績の概要 |
○熱によるコラーゲンの形態学的変化の解明 体外で線維化したコラーゲンフィブリルを水中・空気中で加熱し,水分環境・加熱温度・加熱時間がどのようにコラーゲン線維の幾何学的形状に影響するか検証した.水中加熱の場合,コラーゲンフィブリルは,加熱温度・加熱時間の増加と共に,変性量も増加した.空気中加熱の場合,加熱温度100 ℃で90分間加熱を行っても,コラーゲンフィブリルは加熱前の線維構造を維持していた.また,含水率を調整したぶた大動脈試料を用いて接合強度実験を行い,含水量により接合強度が変化することを確認した.これより組織水分量により,組織変性度合いおよび接合強度がが変化することが分かった. ○FIB を用いた組織接合部位観察による変性組織構造の評価 複合低エネルギ生体組織接合実験装置を用いてブタ大動脈試料片の内膜同士を接合条件:温度100℃,圧力1.25 MPa,接合時間60秒で接合し接合試料を作製した.また,100℃のコンベクションオーブンで60秒間加熱した加熱試料,1.25 MPaで60秒間加圧した加圧試料,および未処理試料を作製した。これら4種の試料をSEM観察用化学処理し,SEM(JSM,日本電子)およびFIB-SEM(NB5000,日立ハイテクノロジーズ)で観察した.その結果,接合試料では,接合部において他試料に比較して更に緻密な組織構造を確認した.三次元再構築した断面画像からも接合界面で組織が三次元的に緻密に重なり結合している様子が確認され,本接合方法はコラーゲンを主とした生体組織構造を変化させ緻密化することが判明した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画どおりにコラーゲンならびに生体試料の変性状態の可視化が行えたため.
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今後の研究の推進方策 |
本接合方法を応用した冠動脈吻合装置の開発を行い,動物実験による安全性およひ変性部位治癒過程の評価を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
冠動脈吻合装置の設計仕様の変更に伴い,その一部の製作を次年度に行うことにしたため.
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次年度使用額の使用計画 |
冠動脈吻合装置等の製作費用として使用する.
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