研究課題
人工心臓には駆動方式として拍動流と連続流の2種類が存在するが、どちらが循環生理学的に生体に適しているか、もしくは問題があるかが明らかになっていない。連続流でも生理的に問題がないことが明らかになれば、超小型の人工心臓が開発可能となり小児にも適用可能となる。 連続流駆動は大血管系に大きな影響はないが、肺や微小循環などの、血液の主たる機能であるガス交換部位における影響は未解明である。これまで拍動流と連続流のどちらも駆動できる人工心臓が存在せず、長期間観察可能な顕微鏡もなかったため研究はすすめられなかったが、我々は拍動流・連続流のどちらも駆動可能な完全人工心臓すでに開発済みである。そこで長期安定的に微小循環を観察できる顕微鏡を開発し、それらを用いて脈のない血流が生体へ与える影響を明らかにすることが本研究の目的であった。微小循環観察装置の開発を行い、その後人工心臓を装着した動物の血流駆動様式を変更し、微小循環への影響を観察する実験的研究を行った。観察の安定性の確保と麻酔等の外乱抑制という条件を満たすために、観察装置内に血管を新生させる機構を組込んだ。基本的構造は血管を誘導する足場部と、その足場に新生する血管・組織を観察するカメラ部の2つで構成した。生体内で血管を誘導する足場にはすでに臨床応用されている、高分子のポリグリコール酸を用いることとした。また、足場に新生する血管を効率的に観察することを目的に平面形状である0.4mm厚の不織布のポリグリコール酸を用いる。微小循環を観察するためのカメラ部はCMOSセンサ、レンズ、プリズム、とLED光源から構成する。開発した微小循環観察装置を皮下に埋め込み、微小循環の観察を行った。螺旋流型人工心臓駆動様式を連続流・拍動流と切り替えて、微小循環に与える影響をリアルタイムに観察し、流れ様式が生体に与える影響を観察した。
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生体医工学
巻: 56 ページ: 275-276
24th Congress of the International Society for Rotary Blood Pumps
巻: 24 ページ: 37