研究課題/領域番号 |
15K12513
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木戸秋 悟 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (10336018)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 再生医工学 / 組織形成 / 組織再生 / 細胞運動 |
研究実績の概要 |
機能的生体組織の形成の基礎原理となる細胞自身の『自発的機能的局在化』運動を誘導する三次元微視的培養力学場の設計技術を確立するとともに、異種細胞の共培養系において各々の細胞を適所に局在化させ得る細胞操作型の足場材料の開発を目的とし、初年度は細胞の三次元走性を制御するファイバーゲルマトリックスの弾性設計に取り組んだ。これまでに予備的に立ち上げている、弾性率可変および接合度調節可能のマトリックス作製法である、光架橋性ゼラチンの電解紡糸メッシュの膨潤ファイバーゲルマトリックスについて、その弾性場の系統的設計を行った。細胞の三次元局在化についてより応用実践性の高い系として、がん細胞の浸潤モデルを導入し、悪性度に依存した三次元浸潤挙動に対する力学場の効果を検証したところ、悪性度の高いがん細胞が特に高い浸潤能を示すファイバーゲルマトリックスの弾性率値には特定の弾性率帯が存在することを見出した。このことは特定の運動表現型を有する細胞種に依存した、ファイバーゲルマトリックス内への自発的局在化が可能となることを示唆する成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的である、異種細胞の自発的機能的局在化に向けた、細胞の三次元運動制御のための人工細胞外マトリックスの微視的力学場設計の手法はほぼ確立された。この技術とマトリックス設計のための条件設定を踏まえて、異種細胞共培養系への適用が可能となっているため。
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今後の研究の推進方策 |
異種細胞の共培養系における、それぞれの種類の細胞の自発的機能的局在化の実現に向け、第二年次は上皮系細胞、間質系細胞の空間配置、局在化に取り組み。この際、上皮ー間葉相互作用の活用も視野に入るため、自発的機能的局在化を経て、器官原基の高効率作出技術へと発展させるべく、使用する細胞として間葉系幹細胞についても導入する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果発表のための予定していた旅費については、招待講演に含めて行うことができたため、先方支出となった事情により予定金額まで使用せずに済んだことと、装置の保守等を見込んでいたその他費目についても特に使用せずに済んだことの二点が理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費としての有効活用に充てるとともに、成果発表と情報収集における旅費の支出に確保する。
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