研究課題/領域番号 |
15K12516
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
若山 修一 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (00191726)
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研究分担者 |
山本 衛 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (00309270)
坂井 建宣 埼玉大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10516222)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 骨粗しょう症 / 骨密度 / 骨質 / 卵巣摘出 / アコースティック・エミッション |
研究実績の概要 |
疲労骨折は、ミクロな損傷の蓄積速度が骨のリモデリング速度を上回った場合に生じると考えられる。本研究は、ミクロ損傷の蓄積やコラーゲン架橋の乱れ(悪玉架橋)などに起因する骨質劣化の結果として疲労骨折が生じているとの概念から骨折機序に関する基礎的指針を明らかにすることを目的としている。 平成27年度は、薬品による脱灰処理を施した試験片を利用した。平成28年度には、ラットに卵巣摘出手術を施し、術後13週および19週後に摘出した大腿骨を供試体とした。曲げ試験、圧縮試験で機械的特性を評価するとともに、AE(アコースティック・エミッション)計測でミクロ損傷の蓄積過程をモニタリングした。また、マイクロX線CT画像解析で骨量(骨密度)を評価するとともに、ラマン分光法でコラーゲン線維の分子構造を計測した。さらに、動的粘弾性測定(DMA)で骨質を評価した。 術後13週および19週の供試体から得られた測定結果を、同等な週齢の健全な供試体と比較したところ、骨量は、特に19週で健全体から大きく低下した。また、曲げ強度は健全試験体よりも卵巣摘出試験体が優位に低下した。しかしながら、骨幹部の圧縮強度には有意な差は認められなかった。一方、骨質に関するパラメータ(ラマン分光法、動的粘弾性)については、一貫した結果が得られなかった。詳細に検討したところ、曲げ試験では骨端部で破壊した試験片が多く、骨幹部よりも骨端部では比較的良い結果が得られており、今後の研究推進に関する重要な指針が得られた。
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