研究課題/領域番号 |
15K12518
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
塚本 康浩 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (90305657)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | HPV / 抗体 |
研究実績の概要 |
私たちは、世界で初めて超大型鳥類“ダチョウ”を用いて卵黄より低コストで大量に抗体を作製する方法を見出しました。本研究では、①ヒトの子宮頸ガンの誘発因子として知られているヒトパピローマウイルス(HPV)に対する中和抗体をダチョウ卵黄を用いて大量に作製します。次に、②このダチョウ抗体をジェルやコンドーム等へ混和させることで性交によるHPVの生殖器への感染を防御する方法を開発します。これにより、受動免疫による新規の子宮頸ガン予防法を見出します。 本年度では、ダチョウを用いた低コスト・大量作製技術を用いて、子宮頸癌を誘発する人パピローマウイルス(HPV)に対する中和抗体を大量に作製し、新規の癌予防法を開発している。本年度は、昆虫細胞を用いてHPVのリコンビナントタンパク質の作製に成功した。次にHPVの合成ペプチドおよびリコンビナントタンパク質をダチョウに免疫したところ、血中抗体価の上昇が確認されたことより、卵黄より卵黄抗体の大量精製を実施した。結果的に卵黄一個より2~4gの卵黄抗体が回収することに成功した。ELISAによりHPV抗原との結合活性を検討したところ、非常に高い活性値が認められた。現在、競合的ELISAを実施しており、今後は疑似感染実験モデルにより卵黄抗体の中和活性能を検証していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的とするダチョウ抗体の大量作製に成功し、研究課題の今後の遂行に十分に使用できるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
予防剤の開発のため、基材の種類、抗体配合量、熱耐性、酸・アルカリ耐性、および安定性試験を実施し、十分量の抗体活性と保存性が認められれば、in vitroおよび疑似感染モデルへと応用化していく。pYSEAPを用いたアルカリフォスファターゼ発現psV16とpsV18プラスミドを構築する。これらを培養細胞に導入し、PsVを回収・精製する。ダチョウ抗体と各PsVを混和し、培養細胞に感染させる。アルカリフォスファターゼ発現量により感染力価を測定し、ダチョウ抗体の中和活性価を算出する。さらにダチョウ抗体と各PsVを混和し、マウス子宮内に感染させます。子宮粘膜内のアルカリフォスファターゼ発現量により感染力価を測定し、ダチョウ抗体の中和活性価を算出する。将来的には医薬部外品などへの応用化が期待できるため、抗体原料およびローション配合物としての安定性試験を行います。恒温恒湿(例:50℃75%)条件下で一定期間保存し、ELISAにて各HPV抗原に対するダチョウ抗体の反応性を検証します。その結果により、品質保持期間および保存法を決定していきます。
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