研究実績の概要 |
子宮頸ガン関連ヒトパピローマウイルス(HPV)とされているHPV16,18のウイルス様粒子(virus-like particle: VLP)をバキュロウイルス発現系を用いて作製した。この抗原を産卵雌ダチョウに免疫し、卵黄抗体を大量、さらに均一的に回収する方法の開発に成功した。この方法により、HPVに結合可能なダチョウ卵黄抗体が卵1個から約2g回収出来ることが明らかとなった。さらに、この抗体はpH4.0,80℃でも抗原抗体反応性を有することがELISAにより判明した。次に、これらのダチョウ卵黄抗体を用いて、HPV16,18に対するダチョウ抗体の感染中和能の検証を試みた。ダチョウ抗体と各PsVを混和し、培養細胞に感染させた。使用した培養細胞はHela細胞、Cos7細胞, NHK細胞HuVec細胞であったが、Hela細胞がPsVの導入効率が高かったため、この細胞株を用いて検証することとした。アルカリフォスファターゼ発現量により感染力価を測定し、ダチョウ抗体の中和活性価を算出したところ、抗血清および卵黄抗体の培養液への添加によりアルカリフォスファターゼ発現量が減少することが確認された。今後、添加する抗体量および添加時期など最適な感染抑制条件を設定していく。また、in vivoでの中和能の検証のため、 マウス生殖器へのHPV pseudovirion(PsV) in vivo neutralization assayを計画している。これまでに作製したダチョウ抗体と各PsVを混和し、マウス子宮内に感染させ、子宮粘膜内のアルカリフォスファターゼ発現量により感染力価を測定し、ダチョウ抗体の中和活性価を算出する予定である。最終的にはローションやコンドーム表面への適応を謀るため、抗体としての安全性試験および安定性試験も計画している。
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