研究課題
ミトコンドリア (Mt)のゲノム異常は、Mt脳筋症、神経変性疾患、心筋梗塞、糖尿病などの様々な疾患と関連しており、Mtを標的とする核酸医薬 (アンチセンスオリゴ核酸)が革新的治療法として注目されている。本研究では、Mt環境応答性核酸ナノ粒子搭載ドラッグデリバリーシステム (DDS)を構築し、Mt遺伝子発現制御、Mt・細胞機能を評価する。平成27年度は、『Mt環境応答性核酸ナノ粒子搭載DDSの構築』に関する「1.Mt環境応答性核酸ナノ粒子の構築」、「2.Mt環境下における核酸放出評価」、「3.Mt環境応答性核酸ナノ粒子搭載MITO-Porterの構築」の項目を中心に研究を遂行した。平成28年度は、『生細胞MtへのMt環境応答性核酸ナノ粒子の送達および遺伝子抑制検証』に関する下記に記載した研究を進めた。1. Mt環境応答性核酸ナノ粒子の細胞内動態の最適化: キャリアの細胞取り込み能をフローサイトメトリーを利用して評価、細胞内動態は共焦点レーザースキャン顕微鏡を用いて観察し、細胞取り込み能およびMt移行能を評価しMtへの核酸ナノ粒子導入を最適化した。2. 生細胞を用いたMt遺伝子抑制の検証: Mt呼吸鎖タンパク質であるCOX2コードするMt内因性mRNAを標的とするアンチセンスオリゴ核酸のナノ粒子をMt内部に導入し、その遺伝子発現抑制を検証した。定量的RT-PCRによるmRNAの定量、免疫染色法を用いた標的タンパク質の発現量を評価し、ミトコンドリアRNAノックダウンを確認した。また、Mt内の膜電位を検出可能な蛍光色素JC-1を利用して評価し、Mt呼吸鎖機能を維持するCOX2がノックダウン時の膜電位が低下を評価し、ミトコンドリア膜電位が低下する機能制御に成功した。
本研究を含む一連の成果が評価され、平成28年度北海道科学技術奨励賞(知事表彰)を受賞した。また、「ミトコンドリア病」の新しい治療法の研究開発を目指す創薬プロジェクト『7 SEAS PROJECT』の構成メンバーとなり、本研究成果を医薬品へと発展させ、医療・経済・社会への貢献を目指し、新たな研究を計画・推進中である。
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J. Soc. Powder Technol., Japan
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医学のあゆみ
巻: 260 ページ: 42-48
http://www.pharm.hokudai.ac.jp/yakusetu/
http://www.pharm.hokudai.ac.jp/
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kgs/H28kagisyo_top.htm
https://7sp.life/