研究課題/領域番号 |
15K12542
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松崎 高志 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (90456939)
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研究分担者 |
眞鍋 史乃 国立研究開発法人理化学研究所, その他部局等, 研究員 (60300901)
富 海英 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (70754646)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ADC / 遺伝子デリバリー / 抗体薬物複合体 / siRNA |
研究実績の概要 |
センス鎖5"末端にチオール基(SH基)を修飾したsiRNAおよび二価架橋剤(Sulfo-SMCC等)を用い、抗HB-EGF抗体にsiRNAを直接架橋結合させたHB-EGF抗体核酸複合体を作成した。表面プラズモン共鳴法(SPR法)により結合乖離定数(Kd)を求めたところ、アビジンを用いて作成したHB-EGF抗体核酸複合体とほぼ同等の高い結合能を持つことが明らかになった。次に、HB-EGF発現細胞を用いて、in vitro評価を行った。その結果、HB-EGF抗体核酸複合体は、HB-EGFの発現特異的に細胞へ標的化し、siRNAの標的遺伝子をノックダウンすることが明らかとなった。またノックダウン効率についても、アビジンを用いて作成したHB-EGF抗体核酸複合体とほぼ同等であった。一方、共焦点レーザー顕微鏡を用いて細胞内局在を観察したところ、多くのsiRNAがエンドソームに蓄積し、細胞質へエスケープできていないことが明らかとなった。現在、HB-EGF抗体核酸複合体の血中安定性について検討している。また平行して、プロテアーゼ切断型架橋基の作成を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二価架橋剤を用いてアビジンを利用することなくHB-EGF抗体核酸複合体を作成することに成功している。また、当初の計画通り、HB-EGF抗体核酸複合体の結合乖離定数の算出、in vitroでのノックダウン効率の評価、細胞内局在解析、血中安定性の評価、プロテアーゼ切断型架橋基の作成を実施しており、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
二価架橋剤を用いてアビジンを利用することなくHB-EGF抗体核酸複合体を作成し、in vitroでHB-EGF発現特異的なsiRNAをデリバリーにより、標的遺伝子をノックダウンすることに成功している。しなしながら、デリバリーされたsiRNAの多くが細胞内のエンドソームに蓄積しており、ノックダウン効率の向上のためには、細胞質へエスケープさせる必要があると考えられた。そのため、エンドソーム内の酵素によって切断を受けるリンカーを用いてHB-EGF抗体核酸複合体を作成し、エンドソームからのsiRNAのエスケープ効率の向上を図る。その上で、心不全モデルおよび虚血性心疾患モデルを用い、in vivoでの標的遺伝子のノックダウン効率の評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、抗HB-EGF抗体のチロシン残基をアジド修飾し、クリックケミストリー(click chemistry)により、プロテアーゼ切断型架橋基の付加することを計画していたが、アジド修飾により抗体の結合能が低下することが明らかとなった。そのため、アミノ基を利用した修飾方法へ変更し、プロテアーゼ切断型架橋基の作成を実施しているが、年度内の完了にいたらなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
プロテアーゼ切断型架橋基の作成に必要な試薬の購入に使用する。
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