研究課題
今年度はsiRNAのエンドソーム脱出を促進するため、カテプシンの基質ペプチドおよびpH依存的膜融合ペプチドからなるポリペプチドリンカーを用いたHB-EGF抗体核酸複合体を開発した。In vitro評価により、細胞内へ侵入した本ベクターの約50%が内在性のカテプシンにより切断され、エンドソームへのsiRNAの蓄積が軽減することが明らかとなった。更に、コントロールの非切断型および非膜融合型のHB-EGF抗体核酸複合体と比較し、有意に高い遺伝子ノックダウン効率を示すことも明らかとなった。以上の結果から、アビジン/ビオチン結合を介さず、二価架橋剤とポリペプチドリンカーを用い、細胞質へ高効率にsiRNAをデリバリー可能な画期的なHB-EGF抗体核酸複合体の開発に成功した。HB-EGF抗体核酸複合体の不全心での標的細胞を同定するため、近赤外共焦点レーザー顕微鏡を用いて組織学的解析を行った。その結果、HB-EGF抗体核酸複合体は心筋細胞マーカーであるトロポニンTとマージせず、線維芽細胞マーカーであるI型コラーゲンと一部マージすることが明らかとなった。次にセルソーター(FACS)を用い、不全心より線維芽細胞をソーティングにより分取し、HB-EGFの発現量を定量的PCRにより測定した。その結果、線維芽細胞ではHB-EGFが高発現していることが明らかとなった。以上の結果から、HB-EGF抗体核酸複合体の不全心での標的細胞は線維芽細胞である可能性が示唆された。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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