研究課題/領域番号 |
15K12544
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
村田 正治 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 准教授 (30304744)
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研究分担者 |
橋爪 誠 九州大学, 医学研究院, 教授 (90198664)
河野 喬仁 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 特任助教 (90526831)
濱野 展人 九州大学, 先端医療イノベーションセンター, 特任助教 (80708397)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ナノ材料 / DDS / タンパク質工学 |
研究実績の概要 |
本研究ではウイルスカプシドをモデルとする新しいナノドラッグキャリアを開発する。これをベースとして様々に機能化し、①分子標的による組織・細胞への侵入、②細胞シグナルによるカプセル崩壊、さらに③内包薬物の放出を実現する。これまでに類例のないこの次世代インテリジェント型ナノカプセルの内孔には、遺伝子、抗癌剤、MRI造影剤、生理活性ペプチド、あるいはNO放出剤など多様な薬剤を固定することが可能であり、特定の分子を標的とする分子イメージングから副作用を極限まで抑えた薬物治療を実現する。 本年度は、前年度までに作成した膵がん特異性を有するiRGDナノカプセルと細胞内分解性のODDナノカプセルの二つの性質を併せ持つナノカプセルを作成した。母体となっているHSP16.5ナノカプセルは、24個のサブユニットから構成されており、これらは加熱によって容易にサブユニット交換されることが明らかとされている。そこで同様に、iRGDナノカプセルとODDナノカプセルを混合し、55℃で加熱することによって両者のヘテロ型ナノカプセルを構築した。サブユニット交換によってヘテロ型ナノカプセルとなっていることは、近接した蛍光分子(ドナー)の蛍光スペクトルと、もうひとつの蛍光分子( アクセプター)の励起スペクトルに重なりを利用した蛍光共鳴エネルギー移動法(FRET)を用いて評価したところ、期待どおりに2つのサブユニットがヘテロな複合体を形成していることが確認できた。さらにこの複合型ナノカプセルは、in vitroにおいてタンパク質分解シグナルであるユビキチン化されることも確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ユビキチン化等のナノカプセルの変化を確認するため抗ナノカプセル抗体の作成が必要となったが、その作成に時間を要しておりスケジュールに遅れが生じた。そのため一部基金を繰り越しており、抗体が出来次第実験を再開する計画である。なお、最終目標には変更はない。
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今後の研究の推進方策 |
複合機能を持ったナノカプセルは臨床的に非常に非常に有用である。本研究から派生した膵プロテアーゼ応答型ナノカプセルは、重篤な術後合併症である膵液瘻のセンサーとして臨床研究を開始している。
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次年度使用額が生じた理由 |
ナノカプセルの動態や構造を明らかにするために抗体が必要となったが、市販のものは存在しない。そこでウサギを使ってナノカプセルを免役し、独自の抗体を作成することにしたが、精製までを含めると4ヶ月を要することが分かり、やむなく繰り越すことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
研究の基本計画は見直さず、抗ナノカプセル抗体が完成次第、研究を再開する計画である。
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