研究課題/領域番号 |
15K12548
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
陳 国平 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA主任研究者 (50357505)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 再生医工学材料 / 氷微粒子 / 多孔質足場材料 / コラーゲン / 軟骨組織 |
研究実績の概要 |
本研究では、氷の微粒子を結晶核として氷の結晶成長を制御し、形成した氷晶のネットワークを空孔のテンプレートとして用いることにより、連通性に富んだ空孔構造を有するコラーゲン多孔質足場材料の開発を目的とする。平成27年度は、型板表面に付着させた氷微粒子とフリーの氷微粒子を用い、表面の開いた空孔構造と連通する内部空孔構造を有するコラーゲン多孔質材料を作製した。①冷却したポリマー撥水性フィルム被覆銅板に純水を微量液体ディスペンサーで滴下し、粒径400 μm程度の氷微粒子を撥水性フィルム表面に形成させた。②純水を液体窒素中に噴霧し、フリーの氷微粒子を作製した。この氷微粒子を-15℃の低温チャンバーに移し、目開きが425と500 μmの篩で直径425~500 μmのフリーの氷微粒子を得た。③コラーゲンを水/エタノール/酢酸の混合溶媒に溶解させた。④[手順①]で作製した表面固定化氷微粒子及び[手順②]で作製したフリーの氷微粒子を-5℃の低温チャンバーに移し、氷微粒子の温度を調整した。⑤[手順④]で温度調整したフリーな氷微粒子と[手順③]で作製したコラーゲン溶液をかき混ぜ、この混合物を表面固定化氷微粒子の撥水性フィルム被覆銅板2枚ではさみ、コラーゲン溶液を凍結させた。⑥この凍結物を凍結乾燥より行い空孔を形成させ、化学架橋により、コラーゲン多孔質材料を作製した。作製したコラーゲン多孔質材料の表面及び断面を走査電子顕微鏡で観察したところ、多孔質材料の外表面に多数の大きな空孔が観察され、これらは内部の空孔と連通していることが分かった。また、断面像から、多孔質材料の内部には氷微粒子を反映した大きさの空孔が密に存在し、互いに連通していることが分かった。さらに、力学試験より、氷微粒子で作製したコラーゲン多孔質材料は、高い力学強度を有することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、まず氷微粒子及び氷晶からなるテンプレートを用いて、開口した表面孔と連通性に優れた内部空孔を持つ多孔質足場材料の作製条件を確立した。次に、本方法で作製したコラーゲン多孔質足場材料の空孔構造、力学特性を評価した。以上のように、当初の計画通りに研究成果を上げることができたと評価している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も当初の計画通りに研究を進める。すなわち作製した多孔質足場材料を用いて軟骨細胞を培養し、細胞の三次元的な分布、および大きな軟骨組織の再生効果を調べ、足場材料の多孔質構造による軟骨組織再生への影響を明らかにする。
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