研究課題/領域番号 |
15K12551
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
橋本 泰成 北見工業大学, 工学部, 准教授 (80610253)
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研究分担者 |
妙田 貴生 東京農業大学, 生物産業学部, 准教授 (80372986)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脳波 / 香り / 嗅覚 |
研究実績の概要 |
本年度では、嗅覚に障害がない状態(ベースライン)の確定と、脳波分析手法の最適化を目指した。上記二点を達成するため、匂い刺激提示時の脳波データを健常者10名で計測したものを分析した。また、実験系を整備することで、無線脳波計を用いて簡便にデータを取得することができるようになった。従来と比べると記録までにかかる時間は30%程度まで減少した。 計測において、香り刺激は、ラベンダー、ローズマリー、イソ吉草酸、ヤチヤナギとした。触感刺激や音刺激などと比べ、香りは、各個人ごとに嗜好性が大きく、ある被験者にとっては心地よい香りが、ある被験者では不快な香りと感じられることもある。このような嗜好性の差は意識的・主観的なものによるので、本研究が対象としている脳波による覚醒度の変化にはそれほど影響しないとも考えられたが、結果としてかなりの個人差を生じることがわかった。脳波周波数分析の数値からは少なくとも個人間で50%以上の変化があることがわかった。結果として、さらなる被験者数の拡大が課題となることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の目標よりも被験者数が少ないが、これは脳波の装着や機器の調整の時間がかかってしまうためである。現在までにこの時間的な問題は解決されており、今後はより効率的に計測が可能であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き被験者を集めてデータ取得をおこない、より多いデータから統計的に有意な脳活動を抽出していく予定である。また現在オフラインで行っている分析をオンライン化することを目指す。実際に臨床的な評価として脳波分析等を利用するためには、測定している時点で分析の結果が分かるオンライン分析で評価するか、もしくは測った直後にすぐ分析にかけて数十秒で結果がわかるような即時性のある評価をおこなう必要がある。また通常の脳波計で、適切に測れるようになるまでには実験者がある程度計測に習熟している必要があり、取り付けにも相当の時間がかかる。本研究の評価法を広く使えるようにするにはこの時間を短縮する必要がある。今後は、この時間短縮も目指すともに新しい評価方法としての確立を目指していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加を予定していた国際学会などが時間の都合で参加できなかったこと、および消耗品について、予想よりも安く手に入れることができたこと、また被験者について謝礼を払う必要がなくなったことなどによるものである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度では、国際学会への参加及び、外部の被験者のリクルートなどを行う目的で支出を予定している。
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