近年、脳機能計測の発達により、香りが脳に及ぼす影響が少しずつ理解されるようになってきている。本研究では、ヒトの覚醒度を変化させる香料とブレイン・マシン・インタフェース技術を使って、被験者の嗅覚機能を数値化して調べる方法を開発することを目指した。合成したラベンダー・ローズマリー・イソ吉草酸・ヤチヤナギ・スイートオレンジの刺激を与えて脳波を測定すると、ラベンダーには後頭葉視覚野から発せられるアルファ波の振幅を大きく変化させる効果があることがわかり、嗅覚機能の定量的な評価の指標に使える可能性が示された。ただし香りに対する脳の反応には個人差が大きく、再現性のある結果を得ることが難しかった。
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