研究課題/領域番号 |
15K12552
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
羽根 一博 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50164893)
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研究分担者 |
佐々木 敬 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60633394)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 検査・診断システム / スマートグラス / 網膜 / 緑内障 |
研究実績の概要 |
緑内障になどの網膜に関する病気は、加齢に伴い無意識の内に進行し、気付いたときには手遅れの場合が多い.本研究ではウェアラブルの網膜検査装置を提案している.スマートグラスに網膜反射光を検出する機能を組み込み、スマートグラスをディスプレイとして用いながら、網膜の健康診断を行うウェアラブル機器を研究している.今年度は,マイクロミラーを用いた共焦点光学系を設計した.設計においては,スマートグラスに組み込めるように,小型化した光学系を設計した.レーザ光をグラス部に運べるように,ファイバにより伝送し,反射光を同じファイバで検出する光学系を設計した.これらの設計に従い,光学部品を用いて光学系を製作した.反射光を照射光と分離するため,ファイバーカプラーを用いた分離結合方式を用いた.これによりハーフミラーのビームスプリッターが不要となり,光学系を小型化できた.網膜位置にスクリーンをおいて,組み込んだMEMSミラーを走査しスクリーンに画像が形成できることを確認した.さらに,スクリーンからの反射光が元のファイバに到達し,検出器に取り込めることを確認した.プリント基板を模擬試料として用いて,反射光が測定できるか確認する実験を行った.検出器の出力をシンクロスコープの接続し,マイクロミラーの走査による周期信号が得られることを確認した.データの取り込みを行うために,AD変換ボードを用いて,コンピュータに接続した.これらの結果から,本研究で提案する装置が構成できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロミラーを用いた共焦点光学系を設計するにあたり,光線マトリクス法を用いて,理論的に解析した.解析から,眼の光学に適した,レーザ走査による表示および検出のための共焦点光学系の特性を明らかにできた.設計においては,スマートグラスに組み込めるように,小型化した光学系を設計した.用いるMEMSミラーを決定し,走査角,視野を明らかにした.レーザ光をファイバにより伝送し,反射光を同じファイバで検出する光学系を設計,製作した.市販のウエアラブルディスプレイを利用し,MEMSスキャナ及び投影/検出光学系を組み込んだグラスを製作した.ポリマー球とガラスレンズを用いて,簡便な眼球モデルを製作した.製作したグラスおよび眼球モデルを用いて,網膜位置に置いたスクリーン上に走査画像が形成できることを確認した.さらに,スクリーンからの反射光が元のファイバに到達し,検出器に取り込めることをオシロスコープにて確認した.このように,研究は予定通りに進捗している状況である.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として,反射光から網膜反射画像を形成するために,光信号データを計算機に取り込むように信号処理のプログラムを開発している.一部のプログラムは動作を確認できているが,反射光は強度が弱いと考えられるので,ノイズ対策を行い,信号を蓄積できるプログラムを製作する必要がある.このようなプログラムの開発を進める.また微弱な反射光を測定できるように,入射光からの迷光を十分に除去することが重要であると考えられる.このため,ファイバ端面,表示用レーザ光と網膜反射光を分離するファイバーカプラー部の特性を明らかにし,ノイズ光の除去を進める.これらの推進方策により,網膜ディスプレイに用いられるような光入射強度においても,網膜反射光が取れるよう装置の改善を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
大きい規模の制御装置及びプログラムの開発を次年度以降に行うため
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次年度使用額の使用計画 |
制御装置を開発し、動物実験等を行う
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