研究課題
X線ビームの照射によりフレキシブルな光電変換デバイス(PVデバイス)の出力特性の評価を行った。評価にはアモルファス型のPVデバイスの他に、試みとして異なる色素増感型のPVデバイスに対しても同様の評価を行った。前者に対する評価の結果、X線照射率に相関のある電流出力を確認することができた。照射量率-出力の相関には比例性があり、この評価での照射線領域においては一様の傾きがほぼ保持されている結果が得られた。一方で、線量率が小さい領域もしくは出力電流が小さい領域では電流出力の安定性が損なわれるとの知見も得られた。これに関しては、計測回路の変更で改善する可能性が示唆される。色素有感型PVデバイスへのX線照射では優位な出力が確認されなかった。これは電流発生原理の違いによる出力特性の違いの他、当該PVデバイスのバックグランド出力が大きく今回の線量領域では相対的に出力が優位でないことが推測される。次に、線量イメージングのためにX線CT装置を用いて被写体の線量とPVデバイス出力の相関関係の調査を行った。CT画像の画素値はその部位での吸収線量と相関があるため、画素値とPVデバイスの電流出力の相関性を調べた。その結果、画素値-電流出力の関連性を示すことができた。ここから、線量イメージが得られた場合には各画素が当該部位の線量と相関を持つことを示唆できる。昨年度に引き続き定位放射線治療、共同変調放射線治療などの線量画像の取得のために必要となるトランケーション(データ欠損)を許容するML-EM画像再構成プログラムの作成・評価を行った。これまでアルゴリズムの見直しにより観測されていた画像の歪みを修正することができた。また、データ欠損によって生じる画像の不正確性が事前情報の組込によって改善することが確認され、これによって放射線治療の臨床条件において現実性の高い線量イメージングが可能なものと考えられる。
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