研究課題/領域番号 |
15K12554
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大河内 信弘 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40213673)
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研究分担者 |
中西 真人 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 幹細胞工学研究センター, 研究員 (10172355)
竹内 朋代 筑波大学, 医学医療系, 助教 (50450333)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 再生医療 / 人工臓器 / 胎盤組織由来体性幹細胞 / 羊膜上皮細胞 / 間葉系細胞 / 造血幹細胞 / 臍帯由来血管内皮細胞 / つくばヒト組織バイオバンク |
研究実績の概要 |
1.研究実績の概要:幹細胞はiPS細胞に代表されるように、再生医療や移植医療において現在最も注目される分野であり、特に我々が普段医療現場で直面する重篤な肝不全などの難治疾患に対する臨床応用が求められている。一方で幹細胞の臨床応用には、不十分な分化能、低い分化効率、拒絶反応、高額な費用を始め、未だ解決されていない倫理的・技術的ハードルが多く存在する。我々は胎盤由来体性幹細胞からのアプローチによりこれらの問題の解決を目指している。現在までの具体的な実績は以下である。 a)胎盤組織由来体性幹細胞の単離と同定、保存に成功した。 b)内胚葉系臓器作製に向け、羊膜上皮細胞の特性解析の一部を行った。 c)スフェロイド形成による効率的な分化手法の探索を行い培養方法を確立した。その結果スフェロイドを形成した細胞の遺伝子発現解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
a)胎盤組織由来の体性幹細胞として、羊膜上皮細胞(AEC)が挙げられ、この細胞はそれぞれ特徴的な増殖能・分化能・表面マーカー発現・遺伝子発現を持ち、再生医療への応用が期待されている。AECは羊膜のトリプシン処理によるソーティングによりそれぞれ同定・単離が可能となった。また保存に関しても液体窒素下で半永久的な保存が可能であり、解凍後の生存率も70%以上を維持していることを確認した。これらの幹細胞は現在、研究室に保管しているが将来的につくばヒト組織バイオバンクに移管し多施設共同研究のための分譲が可能となる。 b)AECは自律的に肝細胞様細胞に分化する傾向を持ち、肝疾患のモデル動物作製や臨床応用が期待される。我々は単離したAECについてqPCRによる遺伝子解析を行い、MSCと比較しOCT-4やNANOGなどの未分化マーカーが強く発現することを明らかにした。FACSにてAECの一部分画がSSEA4+Ecadherin+EPCAM+であることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はAECの遺伝子発現解析と表面マーカーの解析をさらに深く行い、iPS/ES細胞と比較した幹細胞としての位置づけを確定する。それと同時により効率的な肝細胞への分化を目指し、さらには疾患モデル動物に移植して肝疾患の改善効果を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の研究には、実験用物品が大量に必要となるため、平成27年度の予算を節約したため。
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次年度使用額の使用計画 |
使用計画については当初の予定通り実験を遂行していくために使用する予定である。多種のFACS用抗体や専用の幹細胞用培地・分化培地を購入する。またモデル動物の作製に向けて多数の実験動物の購入も必要とする。
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