研究課題/領域番号 |
15K12560
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
槌谷 和義 東海大学, 工学部, 教授 (50399086)
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研究分担者 |
加藤 英晃 東海大学, 工学部, 助教 (90734476)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 細胞 / 複合センサ / マイクロニードル |
研究実績の概要 |
変成ウィルスの仕組み解明が急務であるにもかかわらず,外径10-30 µmを有する細胞への微小生体情報(pH,細胞内温度、細胞外皮硬さなど)センシングに応えるべく技術が存在しないことが問題視されている.そこで本申請では,現在まで不可能であった,一つの生きた細胞を対象とした極微小領域での物理的・化学的センシングおよびin-situの連続生体情報変化観察が可能な多機能性センサ開発を目的とする.具体的には,蚊の口並みの無痛針開発で培った極細管創製技術を用いて,物理的・化学的な基礎情報であるpH,硬さ,温度を外径1-10 µmの先端径を有する「見かけ上1電極」同心円状の極微小領域センサとして集積し,細胞を対象としたプローブ型多機能センシングシステムを世界に先駆けて開発することである. 今年度は,(1) 細胞直径が30~50 [μm]である単一細胞へのセンサ穿刺のために,電解研磨にてセンサ先端寸法を先端直径5 [μm]以下で創製,(2)スパッタリング法により創製可能であった2電極一体型のpHセンサ材料である銀とアンチモンを用い,両材料間のゼーベック効果を利用した熱電センサの開発を行った. その結果,以下の知見を得た. (1) Sb-Ag熱電センサを針形状に創製した結果,先端直径約5 [μm],テーパ部分の角度は44.6 [°]であり細胞に穿刺可能であることを確認した.(2) 30~45 [℃]の温度領域で,温度と電位差に線形近似の関係が見られ,細胞の温度を測定が可能であることを確認した.(3) 創製したSb-Ag熱電センサにおいてゼーベック係数約3.3 [nV/℃]を確認した.(4) 同センサの細胞への穿刺,およびセンシングが可能であることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
見かけ上1電極で,かつセンサ先端直径5 [μm]を実現し,細胞への穿刺,センシングを確認したことから,申請時の計画通り進捗していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の目標としては,「一体化センサの開発と機械的・電気的評価」と「極微小領域「細胞外皮硬さセンサ」の開発」を主目的として行う.さらに使用用途に関して研究総括を行い「細胞用プローブ型多機能センシングシステム」の更なる応用およびポテンシャルを再認識し,次の展望に向けた研究の方向性を確認する.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は,熱電センサの開発に主眼を置き,一定の成果を上げていることから,研究スケジュールは予想以上の進捗であるといえる.したがって本来使用するはずであった研究費は申請研究の他の課題に移行することが望ましいと考えたことがその理由である.
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次年度使用額の使用計画 |
一体化センサの開発と機械的・電気的評価を行うことから,スパッタリングターゲット,エッチング溶液等の消耗品の購入を考えている.また研究成果の外部発表を積極的に行いたいと考えている.
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