研究課題/領域番号 |
15K12562
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研究機関 | 大島商船高等専門学校 |
研究代表者 |
橘 理恵 大島商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90435462)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Dual energy CT / CTコロノグラフィ / 機械学習 |
研究実績の概要 |
大腸がんの検査は大腸内視鏡検査が一般的であるが、近年ではCT画像を用いたCTコロノグラフィが普及してきている。CTコロノグラフィは、肛門から内視鏡を挿入する際の抵抗感などがないため検査の受診率アップが期待されている。しかしながら、検査前は内視鏡検査と同様に、下剤を服用して腸管を洗浄する必要がある。そこで、本研究では、臨床導入が進んでいるデュアルエネルギーCT像の異なるエネルギー画像を用いることにより、計算機を用いて自動的に電子洗浄を行う手法の開発を行う。これによりシングルエネルギーCT像では困難な高精度なクレンジング処理を可能とし、前処置なしのCTコロノグラフィ検査を実現し、被験者が抵抗感なく大腸がん検診を受診できるシステムの開発を目指す。平成27年度はデュアルエネルギーCT装置で撮影された異なるエネルギー画像(80kVp、 140kVp)を用いた大腸電子洗浄法の開発を行った。開発手法では、まず異なるエネルギー画像に物質分解処理を施し、複数の物質画像を生成した。その後、各画像から得られる局所特徴量を抽出し、機械学習法(Random Forest)を用いてCT画像上の各画素を組織別(空気、軟部組織、残渣など)に分類することにより電子洗浄された画像の生成を可能とした。開発手法はシングルエネルギーCT画像の情報のみでは困難であった部分容積効果を受けた画素も精度よく分類でき、CTコロノグラフィ像においても電子洗浄処理時に生成されるアーティファクトを削減させることができた。また、さらに精度高く分類するためDeep learningを用いた手法の開発も試みた。これらの結果をもとに、より精度高く電子洗浄可能な手法の開発を目指すとともに、ノイズが多く存在する超低線量CT画像においても精度高く電子洗浄を行うことができる手法を開発する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定した計画通り、物質分解技術と機械学習を用いて大腸の残渣、軟部組織(ポリープ、ヒダなど)、空気などを組織別に識別する手法を確立することができ、従来法より精度高く大腸の電子洗浄が可能な手法を開発できた。また平成28年度以降に計画している超低線量CT画像に対する手法の開発の基礎的な実験を進めることができたことからおおむね順調に進展していると評価をした。
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今後の研究の推進方策 |
デュアルエネルギーCT装置による撮影はシングルエネルギーに比べて被爆量が多くなる。そこで、検査被爆を大幅に削減できる超低線量CT画像に対しても精度高く電子洗浄を行うことができる手法の開発を目指す。また、超低線量CT画像は従来の線量で撮影されたCT画像に比べてビームハードニングやCT値の擬似強調などのアーティファクトを多く含み画像の劣化が大きいことから擬似強調補正法の開発も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に開催された国際会議で発表するために必要となった旅費精算において計画時の概算と実質費用に若干の差額が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の計画に従って購入する物品の費用もしくは旅費の一部として使用する。
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