大腸がんの検査は大腸内視鏡検査が一般的であるが,近年ではCT画像を用いたCTコロノグラフィが普及してきている。CTコロノグラフィは,肛門から内視鏡を挿入する際の抵抗感などがないため検査の受診率アップが期待されている。しかしながら,検査前は内視鏡検査と同様に,下剤を服用して腸管を洗浄する必要がある。そこで,本研究では,臨床導入が進んでいるデュアルエネルギーCT像の異なるエネルギー画像を用いることにより,計算機を用いて自動的に電子洗浄を行う手法の開発を行う。これによりシングルエネルギーCT像では困難な高精度なクレンジング処理を可能とし,前処置なしのCTコロノグラフィ検査を実現し,被験者が抵抗感なく大腸がん検診を受診できるシステムの開発を目指す。平成29年度は,前年度までに開発した手法(Random Forestを用いた方法)を用いて電子洗浄した場合のCTコロノグラフィと従来法を用いて電子洗浄した場合のCTコロノグラフィとの比較実験を実施し,提案手法の性能評価を行った。前年度までは画素単位での定量評価であったが,平成29年度はCTコロノグラフィ像での定量評価を実施した。その結果,閾値処理による方法やk-nearest neighbor algorithmを持いた方法に比べて,Random Forestを用いた提案手法の方が電子洗浄時のアーティファクトが少なくなることがわかった。さらに,デュアルエネルギーCTから得られる2つの画像および,その画像から生成可能な物質画像を用いることにより,CTコロノグラフィ像においてもさらに精度高く電子洗浄を行うことができることが分かった。
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