2年計画の2年目として、初年度の成果を生かして、金ナノ粒子の生体取り込みに関する課題としてin vivoでの環境を想定した、PEG鎖や電荷などをパラメータとして実験的に検証した。ナノ粒子の界面電位については、アニオン性かカチオン性で生体内の挙動が異なることに伴って変化する金ナノ粒子の分光特性を、網羅的に測定した。透過型電子顕微鏡(TEM)像からは、エンドサイトーシスにより取り込まれる様子が観察され、細胞膜の状態による違いも観察された。これは微視的に摩擦係数に関係すると考えられる。 ハードウェア開発として、励起光の導光にファイババンドルを使用することで励起効率を向上させて感度向上を図り、さらにセンサをアレイ化し、これらを動作させるためのアルゴリズム・プログラム開発を行った。 臨床医とのディスカッションにおいて、関節鏡視下への適用可能性について検討した。滅菌ができる材料を用いること、生体への安全性が確保されることなどについては、既にクリアできていることを確認した。昨年度は関節軟骨の評価方法として画像診断法を中心的に調査したが、臨床症状なども重要な要素になることがわかった。動物モデルについては、半月板の部分切除による変形性膝関節症ウサギを使ったモデルについて検討した。膝表面の走査電子顕微鏡(SEM)像にて摩擦に伴い細胞外マトリックスを中心にした変性が観察できることを確認した。その結果、in vivoで摩擦係数を直接測定することはできないので、変性面積や散乱係数などをパラメータにした評価法が有効であると考えられた。 最終年度として、成果に関する発表を行った。
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