研究課題/領域番号 |
15K12573
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 修 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00361072)
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研究分担者 |
森 信芳 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50463790)
上月 正博 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70234698)
小川 佳子 東北大学, 大学病院, 助教 (90733791)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リハビリテーション / 腎臓 / 循環器・高血圧 / ストレス / 細胞・組織 |
研究実績の概要 |
多発性嚢胞腎(polycystic kidney disease; PKD)は、遺伝子変異により腎嚢胞が進行性に発生・増大し、それに伴い腎機能も低下して末期腎不全に至る疾患である。いくつかの腎疾患動物モデルにおいて、長期的運動(Ex)が腎保護効果を有するとの報告がなされているが、PKD動物モデルにおいて、低強度・短時間・低頻度のExは腎機能に影響しないとの先行研究はあるが、Exが腎保護効果を有するとの報告はない。そこで、今年度、自然発症PKDモデルのPCKラットを用いて長期的運動の腎への影響について検討した。6週齢の雄性PCKラットを非運動(Sed)群とEx群の2群に分け、Ex群には中強度のトレッドミル運動(速度20m/分,60分間/日,週5日)を8週間実施した。各群ともに2週間毎に体重測定ならびに24時間蓄尿を行い、運動プロトコール終了後の14週齢で断頭採血を行った。Sed群に比べEx群では体重が10週齢より有意に低下したが、両群間で腎重量ならびに血圧に差はなかった.Sed群に比べEx群では,血中尿素窒素(18.1±0.3 vs.16.4±0.4 mg/dl, P=0.013)と血漿クレアチニン(0.35±0.0 vs.0.32±0.0 mg/dl, P=0.01)が有意に低下し、尿蛋白排泄量(192.4±31.2 vs.71.1±5.8 mg/day, P=0.02)も12週齢より有意に低下した。以上の結果から、PCKラットにおいて、中強度の長期的運動は降圧とは無関係に腎保護効果を有することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PCKラット(多発性嚢胞腎モデルラット)に対する中強度の運動実験・評価を終了し、現在同ラットに対する高強度運動の腎臓への効果について検討・実験中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在実験中であるPCKラット(多発性嚢胞腎モデルラット)に対する高強度運動実験を終了後、嚢胞増大抑制効果があると報告されているTRPV4アゴニストと運動を併用し、嚢胞抑制効果が増強するか否かの検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことにより発生した未使用額である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度請求額とあわせ、PCKラットにおける長期的運動の有効性の機序の解明に使用する予定である。
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