研究課題/領域番号 |
15K12574
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
千田 浩一 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (20323123)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リハビリテーション医学 |
研究実績の概要 |
心臓磁気共鳴診断(MR)検査の検査時間は約1時間と長く、心臓リハ患者の検査として不適当である。3テスラMR装置が臨床普及しているが、心臓MR検査の短時間化は、温度上昇(熱傷)を防ぐためのSAR(比吸収率)規制により不可能な状況である。 現在、SARの計算は各装置メーカー独自で行っており、その方法は推定値であるので正確ではない。特にインプラントが埋め込まれた患者にとっては、正しい評価が重要である。インプラントの磁場に対する方向や埋め込まれた深さ、そしてインプラント組織周囲の電気特性や血流などの影響をうけるため、発熱の予測は非常に難しい。ほとんどの市販のリアルタイム温度計システムは、磁性材料で作られているため、MR検査中の間に正確な温度監視のために使用することができない。我々はMR撮像中の温度をリアルタイムで測定できる温度計測システムを開発し検証を行って来た。今回は、複数のセンサチャンネルを有し、複数同時に温度計測が可能であるか、より実際の臨床に近い環境で検証した結果、主に以下の知見を得た。 熱電対プローブは、GRE法、TSE法共に今回もほとんど画像に影響なかった。TSE法では、測定データにノイズが入る場合があったが、RFシールド材でケーブルを覆うことによってノイズがほとんどなくなった。また、異なるMR装置(3T)でも温度上昇を確認することができ、そして、異なる装置においても同程度の温度上昇が認められた。非磁性プローブは磁化率アーチファクトの影響を受けやすいGRE法においても画像への影響はなかった。撮像シーケンスによっては非磁性ケーブルがノイズを拾う問題があったが、電波シールド材でケーブル部分を覆いある程度抑えることができた。しかし、複数チャンネルを使用時にノイズが消去しきれない場合があり、今後の課題を残した。他のノイズ対策について今後検討が必要と思われた。主な研究協力者:永坂竜男
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
温度計測アンプの精度向上、ノイズ対策が十分とは言えないため。
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今後の研究の推進方策 |
・温度計測アンプやプローブ等のノイズ対策を行い、多機種の超高磁場MR装置について、新しく開発したマルチチャンネルのリアルタイム温度計測システムの動作確認等を含めた詳細な検討を引き続き行う。 ・成果を論文にまとめ報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
価格と性能がマッチするものがなく、高性能な温度計測アンプの購入がが出来なかったこと等が主な理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額を活用して温度計測アンプ等の精度向上とノイズ対策を達成する所存である。
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