心臓の磁気共鳴診断(MR)検査の検査時間は長く、心臓リハビリテーション患者の検査として不適当である。高磁場3テスラMR装置が普及しているものの、温度上昇(熱傷)を防ぐためのSAR(比吸収率)規制により、心臓MR検査の短時間化は極めて困難である。 SARの計算は推定値であるので正確ではない。またインプラントが埋め込まれた患者では、発熱の予測は非常に難しい。市販のリアルタイム温度計システムは磁性材料で作られているため、MRI検査中の正確な温度監視のために使用することができない。我々は今までMRI撮像中の温度をリアルタイムで測定できる温度計測システムを開発し検証を行って来た。今回は、試作した複数の温度センサと、ノイズシールドを強化したシステムを用いて以下の研究行い知見を得た。 複数チャンネル使用時に、撮像シーケンスによっては非磁性ケーブルがノイズを拾う問題が生じノイズが消去しきれない場合があったが、ノイズシールドを強化したシステムによって改善することができた。だが、あるメーカのMR装置(3T)では、ノイズの影響を強く受け、撮像中の温度上昇計測は出来なかった。しかし撮像終了直後からは温度計測が可能であった(すなわち概ねリアルタイム的な評価は可能と思われた)。人工関節封入ファントムを作成し実験を行い、より臨床に近い環境でインプラントの温度上昇をリアルタイムで捉えることができた。また成果について、European Congress of Radiology (ECR) 2018にて学会発表を行うことができた(Usefulness of real-time temperature measurement during magnetic resonance imaging using a newly developed thermometer)。さらに論文投稿中である。 主な研究協力者:永坂竜男
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