研究実績の概要 |
マウス培養筋芽細胞C2C12を用いて、筋分化、筋修復過程における細胞膜融合メカニズムの分子機構を明らかにする目的で、C2C12細胞の筋分化に必須な遺伝子を探索した。探索に先立ち、筋分化効率の高いC2C12筋芽細胞株を探索し、幾つかの高分化効率を有するクローンを単離した。得られたクローンを用いてRNAi法によりゴルジ体、エンドソームで機能するクラスリンアダプター分子、GGA1(Golgi-localized, gamma-ear containing, adaptor protein 1)がC2C12細胞の骨格筋分化に重要な役割を担っていることを見出した。哺乳動物には構造、機能的に類似した3つのGGA遺伝子(GGGA1, 2, 及び3)が存在することから、これらの分子の筋分化における機能解析を行うことを企画したが、これらの分子群に対する良い抗体が市販されていないことからこれらの抗体を作成し、特異抗体を得ることに成功した。C2C12細胞における内在性GGAの発現解析を行った結果、GGA1筋分化過程において発現量がmRNAレベルで上昇すること、またGGA1はC2C12細胞内においても他の細胞と同様にゴルジ、エンドソームに局在することが明らかとなった。類縁分子であるGGA2, GGA3に関しても同様の解析を行ったところ、GGA3はGGA1同様に筋分化に重要である可能性が示唆される一方で、GGA2はノックダウンにより筋分化は阻害されなかったことから、GGA1, 3とGGA2が筋分化において異なる機能特異性を有していることが示唆された。GGA1, 3はGGA2にはないユビキチン結合能を持つことが示唆されていることから、ユビキチン化されたカーゴ分子が筋分化に重要である可能性を考え、カーゴ分子の探索を開始している。
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