<細胞培養の実施>C2C12筋芽細胞を用いた培養系にて、筋管細胞への分化が安定して行えており、継続的に実験を実施することができた。 <炎症性筋萎縮モデルの確立>グラム陰性桿菌由来の起炎物質であるリポポリサッカライドを使用して筋管細胞に炎症刺激を与え、細胞径の減少、筋原線維タンパクの減少が生じることを確認できている。 <脂肪酸および超音波による筋萎縮予防効果>初年度の研究過程において、短鎖脂肪酸の高濃度(4mM)投与によって筋管細胞が萎縮することが確認されたため、1mMの酪酸を用いて筋萎縮抑制効果を検討した。筋萎縮を惹起するために、酪酸添加1時間後にリポポリサッカライドを添加した。そして、その24時間後に細胞径を測定した。その結果、1mMの酪酸投与によって細胞径の減少が有意に抑制され、酪酸による炎症性筋萎縮抑制効果が確認された。酪酸はヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の作用を有するため、筋管細胞におけるヒストンアセチル化を測定したところ、酪酸添加によってヒストンのアセチル化が有意に促進されていることが確認され、ヒストンのアセチル化が酪酸による筋萎縮抑制作用の因子であることが示唆された。また、これらの効果が超音波療法の併用によって促進される傾向が観察された。
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