研究課題
本研究の全体構想は,グルタミン投与と神経-筋電気刺激を用いたトレーニングの併用が,癌性カヘキシアに及ぼす影響を検討することであった.初年度である平成27年度には,グルタミン投与が癌性カヘキシアに及ぼす影響を検討したが,有益な効果は認められなかった.そこで,平成28年度では,以下の実験を実施した.【背景】これまでに神経-筋電気刺激(ES)が種々の疾患に伴う筋萎縮を防止することが報告されている.また,癌誘因性の骨格筋タンパク質分解が,筋からのグルタミン(GLN)放出を伴うことが示されている.【目的】本研究では,マウス直腸癌由来細胞株(C-26)の移植モデルマウスを用い,ES,GLN投与及びそれらの併用が,癌性筋萎縮を防止するかを検討した.【方法】CD2F1雄性マウスを以下の8群に分けた;CNT,CNT+ES,CNT+GLN,CNT+ES+GLN,C-26,C-26+ES,C-26+GLN,C-26+ES+GLN.また,ESは左下腿三頭筋に対し,最大底屈トルクの60%の負荷を,2秒刺激/4秒休息で1日3セット,1日おきに負荷した.一方,GLNは,毎日1 g/kgずつ投与した.C-26播種4週間後,活動量を測定するとともに,腓腹筋を採取し実験に供した.【結果】C-26群では,除癌体重及び腓腹筋の筋湿重量が約20%減少するとともに,活動量が低下した.ESはC-26誘因性の腓腹筋の萎縮を防止する傾向を示したが,統計学的な差はなかった.また,GLNの投与は,ES併用の有無に関わらず,腓腹筋の萎縮を防止しなかった.【結論】本研究で用いた条件では,ES,GLN投与及びそれらの併用のいずれによっても,癌性筋萎縮は防止されないことが示された.
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