パーキンソン患者2症例へ反復性経頭蓋磁気刺激療法を行いその効果を検討した.症例1は63歳男性,罹病期間19年,Hoehn-Yahr Ⅳ.症例2は67歳女性,罹病期間4年,Hoehn-Yahr Ⅲ.反復性経頭蓋磁気刺激療法を頭頂正中部へ前脛骨筋の運動閾値の90%の刺激強度で10Hz,2400発,1日1回5連日2セット行った.同時に運動機能,アンケートによる非運動症状の評価を経時的に行った.Unified Parkinson’s Disease Rating Sca1e part IIIの前,2ヶ月後のスコアは症例1で34から21,症例2で19から14へ低下した.前と1ヶ月後で比較した日本語版Gastrointestinal Symptom Rating Scale,Overactive Bladder Symptom Score (OABSS),Beck Depression Inventory-Second Edition,Parkinson’disease Sleep Scale-Second Editionの変化にはばらつきがあったが,Generalized Anxiety Disorder (GAD)-7のスコアは2例とも低下していた.症例2において、①ROM(足関節背屈)②動作速度(寝返り・起き上がり・立ち上がり)③歩行速度④TUGを 反復性経頭蓋磁気刺激療法前後で比較した。立ち上がり動作を除き、動作スピードは、TMS治療前を基準として、TMS即時効果、PT訓練を併用した経過において改善を示した。治療を施さなかった退院1か月後の歩行スピードは、退院時よりもわずかに遅くなっていたが、治療一週間後に比べると良い結果を示した。パーキンソン病患者へ対する反復性経頭蓋磁気刺激療法は運動・非運動症状の改善に有効である可能性が示唆された.
|