脳卒中患者は本邦で罹患率の高い疾患であり、手足の運動や認知面に障害を残すことが少なくない。右大脳半球病巣の患者に多い認知面の障害に、半側空間無視を始めとする「無視症候群」がある。本研究では、最新の脳画像診断法であるMRI拡散テンソル法(DTI)を用いて、この症状を脳画像で捉える手法の開発を試みた。先行研究により、DTIのFractional Anisotropy値は脳内の神経線維損傷の指標とされている。右半球病巣の患者で、無視を伴う群と伴わない群のDTI-FA脳画像の2群間比較を行った結果、上縦束を始めとする脳の内部を前後方向に結合する神経線維が無視症候群と関連することが示された。
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