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2016 年度 実施状況報告書

fMRIニューロフィードバックを用いた吃音の発話流暢性改善手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K12594
研究機関株式会社国際電気通信基礎技術研究所

研究代表者

錦戸 信和  株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (60610409)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード吃音 / 脳形態 / 心理的特性 / 発話イメージ / 表面筋電図 / 脈波
研究実績の概要

1.吃音の有無による脳形態の差異への心理的特性の影響を調べるため、吃音のある成人(PWS群)および吃音のない成人(PNS群)に対して、脳形態の解析結果と心理的特性(社交不安障害などの心の状態)に関するアンケート調査結果の相関解析を行った。その結果、PNS群と比較してPWS群が有意(p<0.001, uncorrected)に減少していた左の楔部の体積と、心理的特性に関するアンケートの得点(値が大きいほど重度・否定的)の間に負の相関がみられた。これらの結果から、吃音の有無による脳形態の差異には、心理的特性の影響が含まれている可能性が示唆された。
吃音の有無による脳形態の差異に関する研究はこれまで行われている(例えば[Kell et al. 2009])が、心理的特性が差異に影響しているという報告は無く、今回の成果は、吃音に関する神経基盤や病態生理の解明に寄与すると考えられる。
2.発話イメージの評価方法を検討するための予備実験として、実際に発話した場合および発話をイメージした場合の生体信号(口輪筋およびオトガイ舌骨筋/顎舌骨筋の表面筋電図、呼吸、脈波)を計測した。計測した各生体信号に関して、安静時と発話時の定性的比較を行った結果、表面筋電図に関して、発話時に各筋の筋電位が観測された。呼吸に関しては、発話時に呼気時間が伸びる傾向が示された。脈波に関しては、発話時に1周期内の最小値が減少する傾向が示された。一方、安静時と発話イメージ時を比較した場合、表面筋電図の一部の試行において、発話イメージ時に微小の筋電位が確認できた。
これまで、発話時の脈波の変化に関する報告や、発話イメージ時の筋電位の観測に関する報告は無いことから、さらなる検討を行うことにより、音声に関連する分野において新たな知見が得られる可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

吃音の有無による脳形態の差異と心理的特性の関連性の検討に時間を要したため。
また、十分なS/N比を持つ生体信号を計測するためのシステムの構築および、発話をイメージした際の生体信号の変化を確認するための実験課題等の検討に、時間を要したため。

今後の研究の推進方策

発話イメージ時において、生体信号が変化する可能性が示されたため、被験者の人数を増やし定量的な比較を行い、発話イメージ時の生体信号の変化について検討する。
その後、発話時および発話イメージ時の脳活動と生体信号(表面筋電図、呼吸、脈波)の同時計測および発話イメージの主観評価を行う。この結果に基づき、発話イメージ時の神経機構および、発話イメージの定量的評価方法について検討する。
最終的に、吃音のある成人を被験者として同様の同時計測を行い、健常者との比較検討を行う。得られた結果に基づき、吃音のある成人に対して発話イメージの定量的評価方法を検証する。さらに、スポーツ科学やリハビリテーション等に用いられている運動をイメージする訓練方法であるメンタルプラクティスを吃音の発話訓練に用いる可能性について検討する。

次年度使用額が生じた理由

データ解析および、新たな実験の検討に時間がかかり、被験者を用いた実験の実施が予定より少なくなったため。

次年度使用額の使用計画

次年度の予算の大部分を、被験者を用いた実験の被験者謝金およびMRI利用料に使用する予定。また、得られた成果を外部に発表(学会発表、学術雑誌への投稿)する際の費用にも使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 吃音の有無による脳形態の差異に関与する心理的特性の検討2016

    • 著者名/発表者名
      錦戸信和
    • 学会等名
      日本吃音・流暢性障害学会 第4回大会
    • 発表場所
      国立障害者リハビリテーションセンター学院(埼玉県所沢市)
    • 年月日
      2016-09-02 – 2016-09-03

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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