研究課題/領域番号 |
15K12607
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研究機関 | 東京工芸大学 |
研究代表者 |
森山 剛 東京工芸大学, 工学部, 准教授 (80449032)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シワ / 画像計測 / 医用画像 / CT / MRI / 可視化 / 美容 / ヘルスケア |
研究実績の概要 |
今年度は、以下の3点に関する研究を行った。 ・データ収集(頭部CT画像及びMRI画像、頭部カメラ画像) ・シワ数値化プログラムの開発 ・シワ軽減のための介入に関する効果可視化実験 データ収集に関しては、医学分野の連携研究者(国際医療福祉大学三田病院放射線診断センター奥田逸子准教授)と共に、幅広い年齢層と性別に関して、初年度と同数の6名に関して計画通りに画像データの取得を行うことができた。ただし、被験者は主に20代に偏っており、今後さらに30~40代の被験者を増やす必要がある。シワ数値化プログラムの開発に関しては、初年度に開発したガボール応答に輪郭線モデルを当てはめることによるシワ領域の数値化方法による方法の改良を行った。具体的には、解剖学的な知見を基に鼻唇溝やマリオネットラインの形成に直接関連する表情筋(例:大頬骨筋)に関して、CTスライス画像中の当該領域を特定し、それをスライス方向に積分することにより筋肉の3次元像を作成した。今後、その筋肉の皮膚との接合位置と、CT/MRI撮影時に同時に取得した表皮の3Dスキャン中のシワ部分との構造的な関係を明らかにすると共に、2Dカメラから得られる画像中の画像特徴との関係も明らかにする。シワ軽減のための介入に関する効果可視化実験に関しては、次年度の実施を目標に、シワ軽減のための介入(運動等)プログラムの開発、介入を行う環境の整備を行った。具体的には、介入プログラムとしては、理学療法士(新たに連携研究者に加わった医療法人社団ホスピィー浦田クリニック笠原克義氏)が姿勢や歩行動作の矯正のために行っているプログラムに、ヴォイストレーナ(新たに連携研究者に加わったフリーアナウンサ土井里美氏)による表情筋訓練のためのプログラムを融合させた新たなプログラムを開発した。また、介入を行う環境は、浦田クリニックでの約2か月に渡る全8回のトレーニングセミナとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、頭部CT/MRI画像から皮下の脂肪、筋肉、骨格及び空洞の4領域を明らかにし、特に筋肉の3次元的な領域とカメラ画像を画像処理して得られるシワの特徴量との対応関係を明らかにすることで、将来的に、顔をカメラで撮影するだけで皮下の筋肉量が推定できるようにしたいと考えている。当初の計画では、皮下組織の構造の間の関係を明らかにするのは特定の照明条件における2D画像と考えていたが、近年3D計測が簡易にできるようになってきており、3D画像を用いることができれば照明条件に依存しない利点がある。そこで、2Dでの検討を継続しながら、3D画像取得の方法と皮下組織の構造との対応付けに関する検討を新たに開始した。このように技術の進歩により当初計画を微調整する必要性から研究全体のわずかな遅れを引き起こすことになった。
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今後の研究の推進方策 |
初年度及び2年目は、通常のカメラ画像と共に頭部CT/MRI画像の撮影を進めてきた。その際、3Dスキャン画像も同時に取得してきた。最終年度となる今年度は、引き続き、特に30~40代に的を絞って被験者を集め、データの収集を行う。その際、新たに、シワ軽減効果の期待できる介入を行い、その前後で計2回の撮影を行い、それらの間の違い(介入効果)を数値化することを目的とする。具体的な介入プログラムとしては、理学療法士(新たに連携研究者に加わった医療法人社団ホスピィー浦田クリニック笠原克義氏)が姿勢や歩行動作の矯正のために行っているプログラムに、ヴォイストレーナ(新たに連携研究者に加わったフリーアナウンサ土井里美氏)による表情筋訓練のためのプログラムを融合させた新たなプログラムである。また、介入を行う環境としては、浦田クリニックでの約2か月に渡る全8回のトレーニングセミナとした。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、頭部CT画像から皮下の脂肪、筋肉、骨格及び空洞の4領域を明らかにし、それらとカメラ画像を画像処理して得られるシワの特徴量との対応関係を明らかにすることを目的としている。そこでこれらの画像データを広い年齢層や性別、民族にわたって取得しようと研究を始めたが、CT撮影時に照射するエックス線が反射してしまい(金属アーチファクト)画像化に失敗する点であり、多くの被験者候補に辞退させざるを得なかったことや、CTがエックス線被曝を伴うという事実が知られていなかった為に、同意書に関する説明を行った際に驚かれ、実験撮影への参加を辞退されることがあった為、当初予定の被験者数を確保することができなかった。その為、撮影のための使用額が予定よりも少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
初年度は、頭部CT画像を含めた画像データ取得を行うための被験者集めに困難を生じたが、研究を実施する過程で追加撮影することを決めたMRI(核磁気共鳴画像)は、CTにおける金属アーチファクトの影響が少なく(例えば、銀や金では影響がない)、またエックス線を使用することもないため放射線の被曝の心配もない。そこで、2年目以降はむしろMRIを中心とし同意の得られる場合にはCTを撮影するというように優先度の主客を逆転させて画像データの取得を試みることにより被験者数の増加を図ってきた。最終年度にも引き続きその方針でデータの蓄積を行っていく。
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