研究課題/領域番号 |
15K12609
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
渡邉 順子 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (00175134)
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研究分担者 |
武田 啓子 日本福祉大学, 健康科学部, 准教授 (70548685)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 認知症高齢者 / 排尿ケアモデル / 尿動態測定 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、認知症高齢者の排尿ケアモデルを開発することである。認知症高齢者にみられる尿失禁や頻尿などは、認知障害が原因であるのか、実態はつかめず正確に判別しないまま尿失禁ケアがなされている。認知症高齢者の排尿ケアモデルの開発は、排尿障害の改善だけでなく、介護負担の軽減や失禁がストレスとなって発症するBPSDの緩和および予防が期待できる。 平成27年度は、認知症ケアに関して先駆的な成果を上げている英国の認知症専門看護師の聞き取り調査を行った。①Ty Waunarlwydd 老人ホーム(48床、スタッフ100人)では、パーソンセンタードケアの“The Butterfly Approach”により、看護師はリーダーシップと認知症トレーニングが必要とされている。認知症患者には自宅のようなコミュニテイを提供し、食事、排泄、入浴、娯楽などは規制していない。②Katherine Prothroe認知症専門ケア病棟(3病棟、各20床)。通常は5人のスタッフでケアをしている。退院時にコミュニティ精神衛生看護師が在宅ケアに問題がないか判断し、自宅で暮らせるようトラッキング・システムを活用して、患者の位置情報を把握している。英国では、精神衛生対策の一次評価や継続評価を行い、看護師が公共医療サービスを調整している。薬物の多剤併用については、看護師が薬物効果をモニターし薬物の使用を減らした。③BLLOMFIELD CARE HOMEでは、排泄アセスメントとして患者にコンチネンスなど排泄相談サービスを受けるかどうかを確かめている。入所者の生活自由度は高く、自室はほとんどが自宅仕様になっている。3施設で共通していたのは、看護師にパーソンセンタードケアが浸透しており、認知症をもつ人として「Life Story」を大切に時間に追われることなくケアを行い、認知症患者たちは全員が尿取りパッドを使用し、パッド交換はスタッフがしていたことである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者が年度途中で所属機関を異動したこと、膀胱尿量測定器の仕様変更が年末にあったことなどから、所属機関の倫理審査の受審に遅れが生じ、健常高齢者を対象とした予備実験および認知症高齢者の尿動態測定の試行ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
倫理審査の承認が得られたため、本年5月より予定通り健常高齢者を対象とした予備実験を実施し、その結果をもとにグループホーム入所中の認知症高齢者を対象に尿動態測定を実施する計画である。ただし、研究対象であるグループホーム入所中の認知症高齢者の研究協力が予定通り確保できるかどうか慎重に検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
尿動態測定器(データレコーダ)は27年度に新規購入の予定であったが、年度末に測定器の仕様変更があったため、購入を見送った。
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次年度使用額の使用計画 |
新たな尿動態測定器(データレコーダ)を発注し、健常高齢者を対象とした尿動態測定(予備実験)を開始することになっている。
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