研究課題/領域番号 |
15K12609
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
渡邉 順子 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (00175134)
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研究分担者 |
武田 啓子 日本福祉大学, 健康科学部, 教授 (70548685)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 認知症高齢者 / 排尿ケアモデル / 尿動態測定 |
研究実績の概要 |
1.目的:本研究の最終目的は、認知症高齢者の排尿ケアモデルを開発することである。今年度は、健常高齢者の下部尿路症状の蓄尿症状である昼間頻尿と夜間頻尿を評価することとその測定手法を確立することとした。2.対象:重篤な泌尿器科疾患の既往がなく日常生活に支障のない71±2歳の女性8人。3.方法:日常生活状況、排泄状況、下部尿路症状スコア(CLSS)、過活動膀胱(OABq)、夜間頻尿QOL(N-QOL)の基本項目を聴取した。測定は、日常生活の制限をせず、入浴時を除く24時間以上の膀胱内尿量を連続測定した。膀胱内尿量は、Lilium®α-200の粘着プローブを膀胱直上の下腹部に貼付し、超音波により非侵襲的に行った。静岡県立大学研究倫理審査の(№27‐54)の承認後に実施した。4.結果:過活動膀胱スコア(OABSS)は2.5、下部尿路症状(LUTSS)は5であり、正常範囲内であった。24時間の排尿回数は6±3回、最大膀胱容量は303.5±125.2mL、1回の排尿量は105.5±45mL、残尿量は72.6±57.8mLであった。昼間の排尿回数は5~8回であり、平均尿量は451.2±403.6mLであった。夜間の排尿回数は1~3回あり、平均尿量は175.2±288.1mLであった。夜間の排尿回数が多いほど残尿量が多い。6.考察:健常高齢女性では、自覚的な下部尿路症状は少なくQOLへの影響はみられなかったが、残尿量の増加と夜間排尿回数と排尿量の増加は、高齢女性の排尿筋過活動によるものと判断できる。7.結論:高齢女性の下部尿路症状においては、OABとCLSSのスコアは正常範囲内であるが残尿量と夜間排尿量が多く、睡眠が阻害されQOLは低下している。測定はセルフ測定が可能であり、プローブの粘着性による皮膚トラブルの改善が課題となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
グループホーム入所中の認知高齢者に対する研究同意を得るために、想定以上に時間を要したことが主たる要因である。今年度は、特別養護老人ホーム等も含み、研究協力者を拡大していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
現在、健常高齢者の測定に引き続き、グループホーム入所中の認知症高齢者の測定を10名終えたところであり、残りの予定数、認知症高齢者10名を目標に測定を続行中である。健常高齢者の成果は、今年7月にアイルランドで開催されるSTTI(国際看護科学学術大会)において発表する予定になっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
認知症高齢者の研究同意に時間がかかり、測定目標数が確保できなかったことと、測定期間を当初、3日間と設定していたが、実際には24時間(1日)の測定でも十分であることが健常高齢者対象の測定で判断できたため、それに伴う謝金および調査旅費が削減できた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、研究協力者のリクルート拡大を計画しており、9月頃までには目標予定数を確保するために、効率よく測定できるように測定機器の増設等を検討する。
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