研究課題/領域番号 |
15K12622
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
山田 貴志 香川大学, 教育学部, 准教授 (10321506)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 握力 / 玩具 / ぬいぐるみ / 新生児 / 運動 / 圧力センサ |
研究実績の概要 |
握力は、人間が日常生活に必要な運動やスポーツを行う上で重要な役割を果たしている。国内外では、体力測定における代表的な筋力計測の項目の一つとして、児童から成人を対象とした握力の調査が行われている。調査で用いられる握力計は、母指と母指以外の指で装置を握り締める方法で行われる。その原理は、バネの伸びと力の関係を利用している。しかしながら、これまでに乳児がどの程度の握力を持ち、どのような握り具合で、発達的変化を示すかに焦点を当てた研究は見当たらない。これは、従来の握力計を用いて、手指が小さい乳児の握力計測が困難であると推察されるからである。このことから、乳児の握力特性が計測できるシステムが開発できれば、運動発達やどのような握り方で遊んでいるかなどの手指の巧緻性を客観的に評価することが可能になるものと考えられる。本研究では、手指が小さく、全力で把持していることを判断することが困難な乳児を対象とした、握力計測法に関する実験的検討を目的としている。平成27年度は、小型圧力センサ駆動型丸棒状握力計測デバイス(DataGrip)、センサインタフェース、PC で構成される小型圧力センサ駆動型丸棒状握力計測システムの試作システムを完成させているので、現場での使用に耐えるシステムに進展させた。具体的には、乳児が小型圧力センサ駆動型丸棒状握力計測システムの測定部に注意が向くように、興味・関心を持たせるきっかけづくりとした玩具に着目して、ぬいぐるみを介する握力計測システムを開発・展開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、母親が子ども(乳児)に遊ばせたくなるような、DataGrip を内蔵したぬいぐるみの玩具を完成させた。計画通りに、ぬいぐるみを乳児に握らせたときの握力強度だけでなく、ぬいぐるみの形、厚み、色彩、重さ、音などへの興味・関心について、ビデオ撮影による主観的行動観察の研究を進めることが可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、ぬいぐるみを介する握力計測システムを用いて、乳児の握力計測の予備実験を実施している最中に、乳児がDataGripとセンサインタフェースを接続するケーブルを引っ張ることで、ケーブル内のデータ線を切断して、誤動作を招く恐れがあった。平成28年度は、この知見を踏まえ、DataGripの構造に改良を加えるとともに、乳児の握力強度を定量的に評価する。また、ぬいぐるみを介する握力計測システムを用いて、乳児の握力強度の記録だけでなく、その握力強度を再現するためのハンドリングアームの開発を推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
設備備品の購入に際し、差額が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の計画に沿って、使用する。
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