本研究では、手指が小さく、全力で把持していることを判断することが困難な乳児を対象とした、握力計測法に関する実験的検討を目的としている。平成28年度は、運動機能の発達に伴う乳幼児の握力計測を目的とした、超小型圧縮ロードセル駆動型丸棒状握力計測デバイス(DataGrip Ⅱ)を新たに設計し、DataGrip Ⅱ、ロードセル変換器、インタフェースモジュール、PCで構成される超小型圧縮ロードセル駆動型丸棒状握力計測システムの試作システムを開発した。前年度までに、小型圧力センサ駆動型丸棒状握力計測デバイス(DataGrip)、センサインタフェース、PC で構成される小型圧力センサ駆動型丸棒状握力計測システムの試作システムを完成させていた。しかしながら、DataGripを用いて、乳児の握力計測の予備実験を実施している最中に、乳児がDataGripとセンサインタフェースを接続するケーブルを引っ張ることで、ケーブル内のデータ線を切断して、誤動作を招く恐れが確認された。DataGripを用いた乳児の握力計測を行う上で、DataGrip とセンサインタフェースのケーブルを接続するケーブル押さえの構造の改良は、克服しなければならない課題であった。新たに開発したDataGrip Ⅱは、DataGripと比較して、機能が3点向上した。1点目は、グリップシャフトの間に挟むセンサを小型圧力センサから超小型圧縮ロードセルに変更して、応答性能を向上させた。2点目は、丸棒の直径を2mm小さくして、握りやすさを向上させた。3点目は、握力計測デバイスとセンサインタフェース(DataGrip Ⅱは、ロードセル変換器を使用した。)のケーブル内のデータ線の接続を、ケーブル押さえからコネクタプラグに変更して、耐久性と美観性を向上させた。開発したシステムは、今後、乳児の知覚認知の研究ツールとして利用できるものと考えられる。
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