研究課題/領域番号 |
15K12625
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
清水 将 岩手大学, 教育学部, 准教授 (20547872)
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研究分担者 |
岩田 靖 信州大学, 教育学部, 教授 (60213295)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ゴール型 / 鬼遊び / 戦術的行動 / ボール蹴りゲーム / パス |
研究実績の概要 |
新学習指導要領で示された体育の学習指導要領では、小・中・高の12年間の一貫したカリキュラムとなり、球技はゲーム、ボール運動とともに3つの型で示された。学習指導要領の中で特に示されていない3つの型に関するスコープとシークエンスを検証していくことが本研究の最初の課題であるが、ゲームの攻防を中心とした構造を検討した結果、攻防が空間的に入り乱れ、時間的に連続するゴール型が最も課題性が高いことが明らかになった。ネット型は複雑なゴール型の課題を空間的に分離し、攻防を交代させたものであり、ベースボール型は2つの課題の達成度を競うものであるが、ネット型の空間認知やゴール型のボール運びを組み合わせたものと考えることができる。 小学校におけるゲーム、ボール運動の系統性は、低学年において鬼遊びとボールゲームとなっているが、発育発達段階を考慮した場合のシークエンスは十分に明らかになっていないが、子どもの運動発生の観点からは、投げる・捕ることよりも蹴る動作の方が先に発生するので、ボールゲームにおいては、蹴ることを投げる捕るに発展させることと攻防を分離したものから入り乱れるものへ発展させることが重要である。 ボール操作である技能とは異なる学習内容としてボールを持たないときの動きである戦術的な行動があり、戦術的な行動を学ばせるためには各種の鬼遊びが有効であると考えられた。ゴール型のボール保持者に有効な鬼遊びは、逃げることと追うことの関係ではなく、攻めることと守ることであり、このような個人単位の戦術から集団的な戦術に発展させていくことが重要であることが明らかになった。 ゴール型の特徴であるパスとドライブ(突進)では、パスに限定した方が意思決定の選択肢が少なく、学習が容易であるため、今後はパスを中心とした教材開発と実践研究によりゴール型の系統性を検証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究目標である理論構築のための調査研究については、発育発達段階を踏まえ小学校低学年からの実践研究をおこなった。縦断的に研究できる体制を確立することができた。スポーツ教育学会等において学術成果の公表をおこなっており、論文等にまとめて公開し、実践研究についても同時に進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、理論構築を踏まえてゴール型の教材開発をおこなう。鬼遊びからゴール型へ架橋する教材、陣取り(対峙)型の教材、シュート(入り乱れ)型の教材の実践研究をおこない、ゴール型球技の系統性について明らかにしていく予定である。 今年度は、陣取り(対峙)型を中心に研究を進めるが、陣取り(対峙)型では、ボール保持者の戦術的行動が中心となり、ゴール型の学習内容の基本となることを明らかしたいと考えている。学習者の意思決定にかかる選択肢を単純化して低学年からの中学年の系統性を明らかにすることを課題としたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究打ち合わせを当初岩手大学と信州大学で交互実施の予定であったが、主として信州大学において実施したため、分担者の補助金使用額が抑えられたことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
繰越額は平成28年度の研究打ち合わせ(信州大学、岩手大学)、各種学会発表の旅費及び物品費として使用する予定である。
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