平成29年3月に小学校・中学校の学習指導要領が改訂され、現行の枠組みや教育内容を維持した上で、何を理解し何ができるか(知識及び技能)、理解していること・できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力等)、学びを人生や社会に生かそうとするか(学びに向かう力・人間性等)の3つの柱に整理された。また、生涯にわたって能動的に学び続けられるように、「主体的・対話的で深い学び」の視点に立って授業を改善することが求められた。この改訂を受けて、本研究では、児童が主体的に対話を通じて学びを深めていくソフトバレーボールの教材と授業設計を考案し、小学6年生を対象に実践し、思考力・判断力・表現力、技能、学習への取組への効果を検証した。バレーボールの特徴的な技能である仲間と連携して行う3段攻撃の技能を生かしてゲームで得点するために、ゲームの後に振り返り、前に作戦を検討する話し合いとチーム練習を、児童が主体的に行なった。この時、自他のチームの技能や特徴に応じて実行可能な攻撃について考えを深められるように、単元進行に伴って話し合いの視点を段階的に示した。授業実践の結果、児童に肯定的に評価された良い授業であったこと、説明を理解して実践する理解力、問題を発見し解決策を考える思考力、多様な他者との協働・関係形成をする力、体育に取り組む意欲についての児童の自己評価が向上し、対話分析から、情報の交換や補完、提案や同意形成、提案の修正や発想の展開が行われていたこと、話し合いで決定した守備や攻撃は、50%程度は次のゲームで実施され、無計画の攻撃よりも成功率が高く、またゲームで行われていた攻撃や守備の50%程度は正確に振り返ることができていた。児童の感想文からは単純に得点や勝利を求めるのではなく、考えた作戦を試し失敗しても原因を考えて改善することや仲間と連携する楽しさに気づいたことが確認できた。
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