研究課題/領域番号 |
15K12658
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
宮崎 重勝 神奈川大学, 人間科学部, 名誉教授 (40409892)
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研究分担者 |
鈴木 崇人 神奈川大学, 人間科学部, 非常勤講師 (20638960)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 投球 / 筋活動 |
研究実績の概要 |
子どもの投能力低下は重大な問題となっているにも関わらず、科学的知見に基づいた効果的なトレーニング法は確立されていない。その理由は、習得過程における投動作の段階的な変化は捉えられているが、投動作変化を引き起こす原因である基礎スキルが明らかになっていないためである。ここで、各筋の活動パターンを一つのグループとしてまとめたもの(筋シナジー)が様々な運動の中に共通して存在しているという筋シナジー仮説の観点からすると、基礎スキルを筋シナジーとして捉えることが出来る可能性がある。さらに、オーバーヘッド動作に共通するスキルを筋シナジーとして捉えることで、「運動学習の転移」と呼ばれる現象を明らかにすることが出来るかもしれない。よって、本研究の目的は、投能力向上に必要な基礎スキル、様々なオーバーヘッド競技間で共通するスキルを筋シナジーとして捉え、筋活動パターンとして抜き出すことである。 平成27年度では、非熟練投球者に6週間にわたって全力投球を1440試行行わせ、投球中のマーカ座標、筋活動データを全試行で記録した。平成28年度では、得られたマーカ座標、筋活動データから、ボールスピード、各セグメント・関節角速度の貢献度、各筋活動パターンの使用度を算出した。さらに、算出したボールスピードから全試行を15フェーズに分類した後、各フェーズにおける試行回数と各測定項目との相関関係を調査した。その結果、試行回数と各測定項目において負の相関関係が複数のフェーズで示されため、投運動は局所的に向上-衰退の過程を繰り返しながら成長することが示唆された。また、平成28年度には、これらの結果を基に、国内外の学会において研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成27年度に実施した実験について、研究実施計画の段階では、週3日の実験日の中で、トレーニング実施日を2日、測定日を1日設けていたが、投運動の上達・変化の過程を詳細に捉えるために、全試行においてデータを記録する必要があると判断した。それにより、一人あたりの解析試行が実施計画段階では65試行(5日×13日)であったのに対し、実験実施時では1440試行(60試行×24日)となり、解析量が当初計画していたよりも大幅に増加した。平成28年度には、解析を実施する人員を増やしたものの解析が完遂するには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に実施した実験の解析はまだ途中段階のため、平成28年度と同様に、解析を実施する人員を増やし、その解析を最優先に進める。平成28年度では、非熟練投球者の投球経験増加によるボールスピード、投動作等の中長期的な変化を区分化し、局所的な向上‐衰退の過程を捉えた。そこで平成29年度では、その過程と筋活動パターンの変化との間に関係性があるのかについて調査していく。また、運動力学的データを加えることや、上肢だけでなく、胴体・下肢の解析も行うことで、投運動の上達・変化の過程をより詳細に捉えるようにする。その後、得られた全てのデータをまとめ、論文投稿を行う予定である。また、28年度に計画していた、様々なオーバーヘッド競技の動作から筋シナジーを抜き出し、共通するスキルを検討することを目的とした横断的実験を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に計画していた実験を実施することが出来なかったため、平成29年度で実施する予定である。そのため、その実験における被験者への謝金に充てるものとして残しておいた。
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次年度使用額の使用計画 |
実験の際に被験者へ支払う謝金として使用する予定である。
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