研究1:上肢筋群に対する高強度でのレジスタンス運動後におけるコンプレッションウェアの着用が筋機能の回復に及ぼす影響を検討した。活動的な男性9名を対象に、上半身の筋群に対する高強度でのレジスタンス運動後にコンプレッションウェア(CG条件)または通常のスポーツウェア(CON条件)を48時間にわたり着用させた。運動前、運動直後、1時間後、3時間後、24時間後、48時間後に最大筋力の指標としてチェストプレスにおける最大挙上重量(1RM)、ベンチプレス(40%1RM)での挙上時における発揮パワー、上肢筋群(上腕二頭筋、上腕三頭筋)における筋厚および周囲長、主観的筋痛などを測定した。その結果、運動後に最大筋力や筋パワー、筋厚および主観的筋痛はいずれも有意に変化したが、これらの変化の動態には条件間で差はみられなかった。 研究2:下肢筋群に対する高強度での運動後におけるコンプレッションウェアの着用と筋の冷却(クライオセラピー)の併用が筋機能の回復や筋損傷に及ぼす影響を検討した。活動的な男性6名を対象に、片脚での最大努力による等速性最大膝伸展運動(角速度60度/秒)を60回(6回×10セット)を実施させた。運動終了後に、CG条件では下肢筋群を15℃の冷水の15分間浸水させた後にコンプレッションウェアを着用させた。一方、CON条件では下肢筋群の冷却やコンプレッションウェアの着用は行わず、安静状態を維持させた。その結果、運動24時間までの最大筋力の変化の動態に条件間で差はみられれなかったが、CG条件では運動後における血清ミオグロビン濃度の上昇(筋損傷の間接指標)がCON条件に比較して有意に軽減された。以上の結果から、高強度運動後にコンプレッションウェアの着用と下肢筋群の冷却を併用することで、運動誘発性筋損傷を軽減できる可能性が示された。
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