平成27-28年度の研究内容を継続しつつ、これまでの検証から得られたミトコンドリア、つまり クルクミン(CurL)によって増加したミトコンドリアの呼吸機能を評価した。ミトコンドリアの呼吸機能評価には、高感度ミトコンドリア呼吸測定機を用い、ラット骨格筋(腓腹筋)から単離したミトコンドリアを分析に供した。添加基質/阻害剤によって呼吸鎖複合体毎に機能評価したところ、CurLによって増加したミトコンドリアの呼吸活性は、対象群から得られたミトコンドリアのそれと同じであった。つまり、CurLによって増加したミトコンドリアには呼吸活性上の異常が無いこと、また、そうしたミトコンドリアがCurL投与を通じて増加することによって筋組織の呼吸機能や代謝機能が亢進していることが推測された。また、細胞内にCurLが取り込まれていないにも関わらずミトコンドリアの生合成を亢進している結果の背景を探ったところ、CurL投与によってcAMPが上昇していた。cAMPの上昇はprotein kinase A によって触媒されることから、CurLはprotein kinase Aの活性亢進を介してcAMPを増加させているもとの推察された。本研究では追加実験としてprotein kinase Aの阻害剤であるH89を投与することによってcAMPの上昇が抑制されたこと、言い換えるとCurLのcAMP上昇効果が抑制された結果を明らかにした。以上のような結果を含め、3カ年の成果を取りまとめ、成果報告を行う。
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