研究課題/領域番号 |
15K12667
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
塩川 勝行 鹿屋体育大学, その他部局等, 講師 (80284925)
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研究分担者 |
荻田 太 鹿屋体育大学, その他部局等, 教授 (50224134)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | トレーニング科学 / スプリントトレーニング / 低酸素環境 / 間欠的運動 |
研究実績の概要 |
【目的】本年度の目的は、スプリント能力向上に対して効果的なインターバルトレーニングのプログラムを開発するために、異なる低酸素環境下における短期間高強度の持続的、および間欠的運動時のエネルギー供給動態を明らかにすることであった。 【方法】被検者は、年齢23±3歳のよく鍛錬された体育学専攻の男子大学生8名であった。運動条件は、常酸素環境、海抜2000m、4000m相当の低酸素環境下において、10秒程度で疲労困憊に至る強度による持続的運動および、5秒の運動を10秒の休息を挟みながら疲労困憊まで反復する間欠的運動とした。本実験では持続的、間欠的運動における総酸素摂取量、総酸素借、さらに間欠的運動のみ休息時の過剰酸素摂取量、真の総酸素借を定量した。 【結果】持続的、間欠的運動ともに同一絶対的運動強度で行われたが、すべての環境条件において、運動持続時間に差は認められなかった。また、そのときの代謝特性をみてみると、持続的運動では総酸素摂取量、総酸素借ともにすべての環境条件間で差は認められなかった。一方、間欠的運動では運動時の総酸素摂取量、ならびに休息時の過剰酸素摂取量が、低酸素環境条件が厳しくなるほど低下傾向を示し、海抜4000m相当の低酸素条件では、他の条件より有意に低い値となった。一方、運動時の総酸素借および運動時の総酸素借と休息時過剰酸素摂取量の差より求めた真の酸素借は、海抜4000m相当の低酸素条件において有意に高い値となった。 【結論】本実験のプロトコールのようなスプリント運動の場合、持続的運動では低酸素条件においても代謝特性に差は認められないものの、間欠的運動時には低酸素条件が厳しくなるにつれて、運動時および休息時の酸素摂取量が低下するため、その低下分を代償するように、無酸素性エネルギーの動員がより高まることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であった、常酸素環境と2つの異なる低酸素レベルにおける環境において、持続的運動と間欠的運動時の代謝特性を明らかにし、かつ有酸素性・無酸素性両エネルギー供給能力の向上に効果的と推察される環境を見いだすことできたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
28年度は、27年度の結果をもとに、海抜4000m相当という比較的シビアな低酸素環境下において、スプリントトレーニングの効果を検証する予定である。27年度の実験では、特に被検者、検者ともに健康上問題は認められなかったが、研究協力者のメディカルドクターによる健康診断を義務づけ、安全には十分配慮してトレーニングを実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
27年度は、実験成果に関してはほぼ計画通りに得ることができたが、低圧低酸素チャンバーの改修工事などによって実験期間が短くなってしまい、実験協力に対する謝金、消耗品代などへの支払が予定よりも少なかったことから残額が生じ、次年度の実験に回すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度の実験計画としては、トレーニング実験に関するより詳細な結果の検討を進めるために、測定項目を増やすと同時に、積極的に論文公表、学会発表を行い、旅費、印刷費などの費用として充てることを計画している。
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