研究課題/領域番号 |
15K12668
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
藤井 宣晴 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (40509296)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | マイオカイン / 次世代シーケンス / 骨格筋 / 転写物 |
研究実績の概要 |
本研究は、全く新規のマイオカインを発見することを最終目標としている。平成27年度は、ヒトmRNAを骨格筋から得たうえで、次世代シーケンスを用いてRNAseq解析の一次情報得て、既知のゲノム情報と比較することによって、新規のtranscriptを同定することを目的とした。 ヒトの外側広筋からニードル・バイオプシーにて骨格筋サンプルを得た。筋サンプルは採取後速やかに、液体窒素で冷凍した。冷凍筋サンプルをホモジナイズしmRNAを抽出した。クオリティー・チェック後に、そのレベルの高いものを3サンプル選出し、次世代シーケンスに供した。次世代シーケンスは、タカラバイオ株式会社ドラゴンジェノミクスセンターに依頼した。その結果、リード数は2億6千から3億6千の範囲であった。全サンプルのtransfigの和集合に対してcuffcompareを用いて既知遺伝子との対応付けを行ったところ、未知のIntergenic transcriptであるケースが7千あった。また、予測transcriptはexon-junctionを含みリファレンス遺伝子の構造と異なる新規のアイソフォームであるケースが、11680得られた。このようにして得られた新規transcriptの中には、分泌タンパク質様の構造を有するものがある可能性がある。リストアップされた未知のtranscript中から、タンパク質をコードするものを選別した。塩基配列の読み枠を1 個ずらした計3 つの読み枠でアミノ酸に変換し、明らかなCoding Sequence を有するもの、すなわち明確なKozak 配列があり、かつ24 アミノ酸以上のタンパク質に変換されるものを選出した。さらに、開始コドンの上流に同じ読み枠で終始コドンが確認できるものを、優先的に選出する。得られた転写産物の中から既知のものを除外して、残った物を未知の転写産物と定義した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度に行った次世代シーケンスの結果、得られた一次情報は、リード数は2億6千から3億6千の範囲にある、非常に情報量の多い、すなわち精確性と網羅性の高いものが得られた。これらの解析の結果、新規transcriptと考えられる候補分子が多く得られた。研究計画は順調に進んでおり、また得られた結果も新規マイオカインの探索に有望なものであった。したがって、平成28年度の計画に進展するための足固めはしっかりと構築できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に得られた転写産物の情報を、バイオインフォマティクスを用いたタンパク質の構造解析に供し、分泌タンパク質かどうかを予測する。すなわち、シグナル・ペプチドを有し(典型的な分泌タンパク質は合成の過程で小胞体を通過する必要があり、通過切符として機能するシグナル・ペプチドを持つ。使用プログラムSignalP; http://www.cbs.dtu. dk/services/SignalP)、膜貫通領域が無く(細胞膜に組み込まれないのなら分泌される可能性あり。TMHMM; http://www.cbs.dtu.dk/services/TMHMM)、核・ミトコンドリア・小胞体への局在配列を持たない分子(細胞内小器官への移行切符を持たない。TargetP; http://www.cbs.dtu.dk/services/TargetP)を解析対象とする。(4) 発現の確認とcDNA のクローニング 新規に同定できたマイオカインが実際に骨格筋に発現しているかどうかは、PCR法を用いて、マウス由来C2C12 筋培養細胞株、マウス衛星細胞由来筋初代培養細胞、マウス骨格筋組織、およびラット骨格筋組織を対象に確認する。最終的には、ヒト骨格筋由来のmRNA から作成した逆転写産物(コスモバイオ社; AM015-CD)を用いて、全長のcDNA をRT-PCR 法でクローニングする。この逆転写産物はpoly Aプライマーによって作成されているため、3’-側のコード領域を取り逃す可能性は低いと予想される。逆に5’-側のコード領域に届かないことが想定される。その際には、5’-RACE 法を用いてその方向への伸長を試みると共に、ランダム・プライマーを用いて作成した逆転写産物の使用も試み、転写制御領域をなるべく広くカバーする。発現パターンに関しては、速筋タイプ(腓腹筋の白色部や長指伸筋に代表される)と遅筋タイプ(腓腹筋の赤色部やヒラメ筋に代表される)で発現量に違いがあるかの特徴を、定量PCR 法で明らかにする。また、脳、心臓、肺、肝臓、腎臓、生殖器、等の主要臓器における発現量を定量比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
その他で使用した、マウスの繁殖委託費に若干のあまりが出たため。
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次年度使用額の使用計画 |
残額は平成28年度の物品費に計上する。
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