研究課題
本年度は、平成27年度に得られた転写産物の情報を、バイオインフォマティクスを用いたタンパク質の構造解析に供し、分泌タンパク質を予測した。シグナル・ペプチドを有し(典型的な分泌タンパク質は生合成の過程で小胞体を通過するが、小胞体への移行シグナルがシグナル・ペプチドである)、膜貫通領域が無く(細胞膜に組み込まれないならば、分泌される可能性がある)、核・ミトコンドリア等の細胞内小器官への移行シグナルを持たない分子を探索した。その結果、分泌タンパク質と予測される全く未知の分子が3つ見つかった。この分子はマウスにホモログが存在せず、ヒトに発現すると考えられた。ヒト骨格筋細胞から抽出したmRNAを用いてRT-PCRを行ったところ、予想されるバンドが得られた。PCR産物をシーケンスしたところ、標的分子の塩基配列であることが確認された。次にウェスタンブロッティング用に標的分子の特異的抗体を作製したが、分子が小さいこともあり、使用可能な抗体は得られなかった。そこで、RT-PCR報によって標的分子のCDS部分をクローニングした。それを、pcAGGS発現ベクターのMCSにHAタグ付きで挿入し、マウス由来C2C12骨格筋細胞株に導入した。HA抗体でウェスタンブロッティングを行ったところ、標的分子のタンパク質の発現が確認された。培養上清を濃縮し、HA抗体を用いたウェスタンブロッティングを行ったところ、ポジティヴなシグナルが検出された。HAタグをN-末端に付加した場合も、C-末端に付加した場合も、確認可能だった。この結果は、骨格筋細胞内で合成された標的分子が分泌されていることを示唆している。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件) 備考 (1件) 産業財産権 (2件)
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