研究課題/領域番号 |
15K12671
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
若林 斉 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (50452793)
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研究分担者 |
引原 有輝 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (10455420)
金田 晃一 千葉工業大学, 工学部, 助教 (10534589)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 骨格筋冷却 / 骨格筋代謝 / 解糖系 |
研究実績の概要 |
本研究は,骨格筋冷却による筋代謝制限下で行う運動トレーニング手法の開発を目的とする.筋温を平常温以下まで低下させることにより,酵素活性や有酸素代謝が制限され,低筋温の状態で運動を行うと,解糖系代謝の動員が促進されることが想定される.平成27年度は,下半身浴および冷却パッドを用いた一過性の筋冷却状態で乳酸閾値レベルの脚ペダリング運動を行わせ,その際の骨格筋代謝,呼気ガス代謝応答および血中乳酸濃度の評価を行った.その結果,冷却条件では,運動開始初期の酸素摂取動態の立ち上がりに遅延が見られ,有意に高い血中乳酸濃度が見られた.このことから,骨格筋冷却状態で行う運動時には解糖系代謝の動員が増加することが示唆された.また,筋冷却状態行うでトレーニング実験について被験者2名を対象にパイロットテストを行った.平成27年度の研究は筑波大学水泳研究室との共同研究で行った.国内外の学術集会において以下の研究発表を行った. 大澤瑞樹,若林斉,仙石泰雄.冷水浴による筋温低下がその後の運動に及ぼす影響~代謝様式に着目して~.2015年日本水泳・水中運動学会年次大会,東京,2015.10.17-18 Wakabayashi H. Physical performance in cold environment and adaptation after repeated cold exposure. The 12th International Congress of Physiological Anthropology, Chiba. 2015. 10. 27-30. Wakabayashi H, Ohsawa M, Sengoku Y. Physical performance and metabolic response in hypothermic skeletal muscle. JPA/JSPA/UTAR Seminar on Physiological Anthropology, UTAR Kampar Campus, Malaysia. 2016.3.3.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は当初利用を予定していた環境制御室の移設工事の影響で実験の遂行の遅延が懸念されたが,筑波大学水泳研究室の協力のもと実験環境の共同利用および共同研究者との連携による実験遂行がなされ,研究を前進させることができた.研究打ち合わせの結果,実験プロトコールを当初の予定から修正し,下肢ペダリング運動を対象とした.また,冷却条件における解糖系代謝の動員を明確に評価するために,運動強度を乳酸閾値強度に設定するなど有益な示唆が得られた.主な実験結果として,冷却条件で血中乳酸濃度が高値を示すなど,解糖系代謝の動員を示唆するデータが示された.骨格筋代謝の評価に用いた近赤外線分光法による骨格筋酸素動態のデータの解釈について,さらに検討を進める必要がある.国際会議を含む複数の学術集会において平成27年度中に成果の一部を速報できたことは当初の計画よりも前進している.しかしながら,平成27年度の研究は主に筋冷却時の一過性の応答を評価するところまでで,本研究課題の主要なテーマであるトレーニング効果の検証をするに至っていない.トレーニング実験については,2名のみを対象としたパイロットテストとして実施した.平成28年度には,トレーニング実験のプロトコールを修正し,対象者を増やして検証する.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度より研究代表者の所属研究機関が変更されたため,早期に研究実施環境および研究体制の再構築を行う.本研究課題については平成27年度に引き続き筑波大学水泳研究室との共同研究として行う.測定機材の一部および実験環境も同大学の協力を得ながら進めていく.なお,平成28年度より筑波大学の仙石泰雄氏を研究分担者として追加予定であり,トレーニング科学的視点からの専門的示唆を得るとともに,予算執行を含めた共同研究推進の効率化を図る.現在までに研究計画に関する打ち合わせを重ねており,修士課程学生2名による研究協力が得られる.比較的遠方であるため,メール等を活用して研究計画および進捗状況を随時確認し,定期的に研究打ち合わせを実施する.特に予備実験による実験プロトコールの設定の際は,実験実施環境にて十分に確認を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究プロトコールおよび年次計画の見直しを行ったことにより,平成27年度の物品費や謝金等の執行が抑えられたため,次年度に予算を繰り越した.
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は,本研究課題の中心となるトレーニング実験を行うため,物品費や被験者謝金を要する.また,学外での共同研究の実施に伴い,旅費を要する.
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