本研究の目的は,ヒトの運動時の循環調節における大動脈弓圧受容器反射の働きを調べることである.本研究では,1)ヒトの大動脈弓圧受容器反射の働きを非侵襲的に評価する実験モデルを開発した.また,2)この実験モデルを用いて,安静時および運動時における急性の動脈血圧低下に対する心拍数増加反応には大動脈弓圧受容器反射が主要な役割を果たすことを明らかにした.本研究の成果は,運動時の動脈血圧調節メカニズムの解明に貢献し,運動の安全性やトレーニングによる健康増進,運動パフォーマンス向上などを考えるうえで重要な科学的知見となると考えられる.
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