研究課題/領域番号 |
15K12674
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
村岡 功 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (80112712)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 水素 / 酸化ストレス / 抗酸化 / グリコーゲン / 持久的パフォーマンス / ラット |
研究実績の概要 |
本研究は、実験動物(ラット)を用いて、習慣的な水素摂取が持久的パフォーマンスおよびパフォーマンスの回復に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。今年度は、昨年度に実施する予定であった、水素摂取が運動による酸化ストレスおよび持久的パフォーマンスに及ぼす影響について検討を行った。 Sprague-Dawleyラット32匹を、コントロール群(C群)、コントロール+運動群(C-Ex群)、水素群(H2群)、水素+運動群(H2-Ex群)の4群に振り分けた。各群のラットには、ミネラルウォーターあるいは水素水のいずれかを2週間に亘り自由に摂取させた。2週間後、C-ExおよびH2-Ex群のラットには漸増負荷による疲労困憊運動を行わせ、運動直後に採血および臓器(腓腹筋、肝臓)の摘出を行った。一方、CおよびH2群のラットは、C-ExおよびH2-Ex群の運動実施時間に合わせて同じ条件にて解剖を行った。測定項目は、酸化ストレス(チオバルビツール酸反応性物質(TBARS)、カルボニル化タンパク質(PC))および抗酸化指標(総抗酸化能(TAC))、血中エネルギー基質(グルコース、遊離脂肪酸、中性脂肪)、骨格筋および肝臓グリコーゲン量であった。疲労困憊運動直後のΔTACは、C-Ex群と比べてH2-Ex群で上昇傾向(P=0.056)を示した。また、骨格筋および肝臓におけるグリコーゲン含量の低下は、いずれもC-Ex群と比べてH2-Ex群で有意に抑制された。一方で、血漿および骨格筋の酸化ストレス指標、血中エネルギー基質および持久的パフォーマンスでは、群間に有意差は認められなかった。これらの結果から、2週間の水素水の摂取は、運動時の骨格筋における抗酸化能を高める可能性、筋および肝グリコーゲンの利用を抑制することが示された。 次年度(平成29年度)は、水素水の摂取がダウンヒル運動後の筋損傷に及ぼす影響について検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度(平成27年度)に実施する予定であった実験の一部が本年度(平成28年度)にずれ込み、また、本年度も運動条件の設定に時間を要したため、当初予定していた実験を全て行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(平成29年度)は、ダウンヒル運動後のラットの筋損傷および酸化ストレス指標の時系列変化について検討を行うとともに、水素水の摂取がダウンヒル運動による筋損傷に及ぼす影響についても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度(平成27年度)に実施できなかった実験の一部を本年度(平成28年度)に行ったことに加え、本年度に実施する予定であった実験においても、運動条件の設定に多くの時間を要した。そのため、本年度内に全ての実験を完了することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、本年度(平成28年度)に実施する予定であった実験の実施費用として用いる。具体的には、ラットの購入代、筋損傷指標を測定するための試薬および消耗品(ピペットチップやマイクロチューブなど)の購入代として使用する予定である。
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