研究課題/領域番号 |
15K12676
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
橋本 健志 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (70511608)
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研究分担者 |
小河 繁彦 東洋大学, 理工学部, 教授 (80553841)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脳内代謝 / 認知機能 / 実行機能 / 乳酸 / 高強度間欠的運動 |
研究実績の概要 |
本研究は、ニューロンの重要なエネルギー源である乳酸利用を高めることができれば、中枢性疲労の軽減や認知機能の亢進をもたらすのではないかと仮説をたて、ヒトを対象としてこの仮説を検証することを目的とした。当該年度では、脳内代謝亢進を誘発するような動的運動時の乳酸代謝動態と認知機能の関係性を明らかにすること、及び運動時や運動後の脳内代謝動態を解析することを目的とした。 高強度運動を間断的に繰り返し実施する高強度間欠的運動を、1時間の休息を挟んで2回実施すると、1回目の運動と比較して2回目の運動による乳酸産生量が少なくなることを明らかにした。さらに、我々の先行報告(Tsukamoto et al. Physiol Behav, 2016a)では、高強度間欠的運動が、運動後の認知機能の亢進をより長い時間持続させることを報告したが、同じ運動強度、実施時間、運動様式の運動であるにもかかわらず、2回目の高強度間欠的運動のように乳酸産生量が少なくなると、亢進した認知機能の持続性が損なわれてしまうことを明らかにした。この研究により、運動による認知機能亢進の持続性に、運動誘発性の乳酸産生量が重要な役割を担っている可能性が示されたTsukamoto et al., Physiol Behav 2016b)。 しかしながら、実際に高強度間欠的運動中ならびに運動後の脳内代謝動態については不明であり、今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、ニューロンの重要なエネルギー源である乳酸利用を高めることができれば、中枢性疲労の軽減や認知機能の亢進をもたらすのではないかと仮説をたて、ヒトを対象としてこの仮説を検証することを目的とした。 実際に、乳酸蓄積量に差異の生じる同様の運動様式に対して、運動後の認知実行機能にも差異が認められ、我々の仮説が部分的に証明されたと考える。 また、より一層の検討課題として、運動中および運動後の脳内代謝動態の把握が挙げられるが、実験によって、ヒト脳内代謝動態を算出するためのデータの取得は達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
乳酸蓄積量に差異の生じる同様の運動様式に対して、運動後の認知実行機能にも差異が認められ、我々の仮説が部分的に証明されたと考える。 しかしながら、検討課題として、運動中および運動後の脳内代謝動態の把握が挙げられるが、実験によって、ヒト脳内代謝動態を算出するためのデータは取得できた。そこで、その解析を推進し、ヒト脳内代謝動態と認知実行機能との関連性を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
他の同様の研究費で物品費用をまかなうことができたため、若干の差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
被験者に対する謝金や血液分析用試薬等の消耗品など、使用予定額に則して執行する。繰り越した予算は、主として論文投稿費に充てる予定である。
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