研究課題/領域番号 |
15K12677
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
檜垣 靖樹 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (10228702)
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研究分担者 |
須藤 みず紀 公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所, その他部局等, 研究員 (10585186)
兼岡 秀俊 福岡大学, 医学部, 教授 (20161169)
安藤 創一 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (50535630)
安野 哲彦 福岡大学, 医学部, 助教 (80551994)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 核 |
研究実績の概要 |
本年度の目的は、持久的トレーニング及び高脂肪食負荷のマウスより摘出した骨格筋の連続横断切片を作製し、蛍光標識を用いた手法で3次元の細胞内位置情報を数値化し、核とミトコンドリアが脂肪滴に共遊走する証拠を静止画像の解析より明らかにすることであった。 被験動物にはC57BL/6Jマウスを用い、12週間の高脂肪食負荷群および通常食群に分類した。高脂肪食負荷群は、6週間経過後、持久的トレーニングとして回転ゲージを用いた運動群と運動なし群に分けた。従って、比較検討する群は、12週間の通常食群(C)、12週間の高脂肪食負荷群(HF)、12週間の高脂肪食負荷+6週間の運動トレーニング併用群(HF+E)の3群であった。被験筋は、ヒラメ筋及び長趾伸筋を摘出し、組織切片サンプルに供した。 12週間の介入によりHF群は、C群に比し有意な体重増加、肝臓重量の増加、腸間膜脂肪の増加を認めた。一方、HF+E群は、C群に比し有意な体重増加を認めたが、肝臓重量及び腸間膜脂肪量は、C群に比し有意な差を認めなかった。 現在、摘出筋より連続した筋組織切片を作製し、核、ミトコンドリア、および脂肪滴の局在を調べる実験に取り掛かったところである。肝臓組織切片より脂肪の沈着の程度を観察したところ、HF+E群は、HF群に比し、脂肪蓄積程度の減少を認めている。予想としては、骨格筋組織も同様な傾向を示し、ミトコンドリア、脂肪滴の組織内位置関係が異なることを想定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
持久的トレーニング及び高脂肪食負荷のマウスより骨格筋を摘出済みである。CT画像による脂肪沈着の定量評価と肝組織切片を用いた脂肪沈着の定性評価を行い、予想通り高脂肪負荷群と高脂肪食負荷+運動トレーニングの併用群の比較が可能であることを確認した。すなわち、運動トレーニングを併用することで肝臓内脂肪沈着の抑制を認めた。 当初の計画では、筋切片の解析も同時並行で行う予定であったが、肝臓のCT画像解析による脂肪沈着の定量評価に時間を要したことで、筋組織切片に関する実験の進行がやや遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
筋組織切片を用いた、核、ミトコンドリア、脂肪滴の3次元解析を進めるとともに本年度の実験を並行して実施する予定である。 培養細胞系の実験については、すでに実験機器の整備が完了しており、すぐに実験が開始できる環境にある。また、iPS細胞由来の筋細胞への分化も開始しており、パルミチン酸添加による脂肪滴の作製、電気刺激による筋収縮実験を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では3次元解析まで終了する予定であったが、連続切片の作成および蛍光色素による染色が実施できなかったため、消耗品およびその他の支出が見込みより少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
3次元解析を実施するための消耗品およびその他の支出を平成28年度の予算案に計上し、計画的に使用していく予定である。
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